「日本ハム２－０西武」（１１日、エスコンフィールド）

　一番おいしいところを持っていった。舞い上がった白球が右翼フェンスを越えると、ファンの大歓声を浴びながら、日本ハム・郡司が高々と右拳を掲げた。引き分け寸前から勝利をもたらすサヨナラ２ラン。「さすがに俺、かっこいいと思いましたね」。お立ち台でそう振り返って爆笑を誘った。

　両チーム無得点で迎えた延長十二回２死一塁から代打で登場。代走・松本剛の二盗後、外角のスライダーをしっかりと捉えた。「バッテリーも丁寧に来るだろうなというところ。僕も丁寧に打ちにいこうと」。昨年８月１日のオリックス戦以来となる自身２本目のサヨナラ弾は冷静に打った。

　本職の捕手だけでなく、三塁、外野に代打でも結果を出す。「１２球団見ても、こういう使われ方をしてるのは。たぶん僕しかいないと思う。誰もやってないことができるありがたさを感じながら、日々楽しんでいます」。ユーティリティーとしてのやりがいとプライドをにじませ、胸を張った。

　新庄監督も劇的勝利には大興奮だ。「郡司くん、しびぃ～（渋い）」と第一声。移動日試合で引き分けて翌日のデーゲームに臨むのは厳しい状況だっただけに「気持ち的にすごい今日の勝ちはね、全員の疲れを吹き飛ばしてくれた一本でした」と絶賛した。今季初の４連勝で同最多の貯金４。指揮官は「（興奮で）寝られんわ」と笑うほど、さらに勢いがつく白星だった。