「広島５－０中日」（１６日、マツダスタジアム）

　２７個目のアウトを奪うと、広島・森下は力強く右拳を握った。九回２死一塁で代打・郡司を空振り三振。割れんばかりの拍手を浴び、仲間と勝利を分かち合う。しならせた右腕が、試合前に漂いかけた不穏な空気を押し返した。９回９安打無失点、１２４球の熱投で自身初の２戦連続完封勝利。お立ち台では開口一番「疲れました！」と率直な心境を明かして観衆を沸かせた。

　初回から三回まで毎回得点圏に走者を背負ったが、決定打は許さない。直球とカットボールに加えて緩いカーブでアクセントを付けた。二回までに４点の援護をもらい「ゼロで抑えようという気持ちで投げました」と振り返った。

　プロ入り４度目となった柳との投げ合い。“明大対決”は２０２０年１１月１日から３連勝を飾った。コロナ禍に見舞われたチームを救い、２年ぶりの１０勝目を挙げた。「チームもこういう状況ですし、自分自身も２桁（勝利）を目指してやってきた。まずは何とか２桁に到達して良かった」と息をついた。

　球団の２試合連続完封勝利は１６年のジョンソン、日本人投手では９９年の紀藤真琴以来２３年ぶり。「準備をしっかりしていつも通りやっていきたい」と森下は次戦を見据える。これで１８イニング連続無失点。頼れる男が“無双状態”に突入した。

　◆広島投手の２試合連続完封勝利　森下が自身初の２試合連続完封勝利。球団では２０１６年にジョンソンが５月１７日・ヤクルト戦、同２４日・巨人戦で連続完封して以来。球団日本人投手では９９年に紀藤真琴が５月２６日・巨人戦、６月２日・ヤクルト戦で連続完封以来。