広島・鈴木 カギの左打者対策に自信「来シーズン楽しみに」 現役ドラフト史上初の2巡目指名、移籍1年目でキャリアハイ
広島・鈴木健矢投手(27)が移籍1年目のシーズンを終えた。貴重なアンダースローとして自己最多タイの24試合に登板。防御率1.89と、新天地でキャリアハイの成績を残した。今秋は課題である対左打者への対策を模索。オフのトレーニングのこだわりについても明かした。
唯一無二の武器を生かし、自身の存在価値を証明した1年になった。鈴木は移籍1年目を振り返り、「後半(調子が)上がってきてそこから自分のパフォーマンスが出せた。来季に向けてよかったのかなと思います」と納得の表情を浮かべた。
昨オフの現役ドラフトで日本ハムから広島に移籍。3回目の開催にして史上初の2位指名を受けての移籍に、「1巡目は絶対取らないといけないルールがある中で、2巡目に踏み切ってくれたのはそれだけ評価してくれたということ。そこは意気に感じてました」と胸の内を明かす。
開幕1軍入りを果たすも、最初の5登板を終えた時点で防御率6・00。「最初は情報を集めるところからのスタートだった。シーズン序盤はあまり自分のパフォーマンスが出せなかった」。セ・リーグとパ・リーグの打者傾向の違いに戸惑い、試行錯誤が続いた。
5月末に登録抹消されるも、8月の再昇格以降は11登板で計18回を投げ、わずか2失点。島内、ハーンら剛腕が並ぶ中継ぎ陣の中で、「150キロ超の投手を捉える打者でも、僕の時はズレてくれる。他の投手とは違う崩れ方をしてくれるので嫌がってくれている」と、打たせて取る投球で地位を確立した。
1年を通した活躍を狙う来季に向け、カギとなるのが対左打者への対策だ。今季は対右打者の被打率・194に対し、対左は同・255と数字に差が出た。「対左は課題としてこの秋も取り組んでいますし、その取り組んできたことがどれだけ通用するのか」と力を込める。「来シーズン楽しみにしといてください」と自信をのぞかせた。
今や“絶滅危惧種”となっているアンダースロー。体のしなやかさを維持するため、トレーニングには細心の注意を払っている。2年前のオフには球速アップのためにウエートトレを取り入れたが、体に合わず断念。現在はエクササイズやインナートレーニングが中心となっており、今オフも、「可動域の中に強さを出したい。そういうエクササイズを増やそうかな」と進化を目指す。
来季の起用法は現時点で不透明。「そこは臨機応変にできるのが自分の強みでもあるのでいろいろ対応できれば」と頼もしく言い切った。チーム屈指の便利屋が投手陣を支えていく。
◆鈴木 健矢(すずき・けんや)1997年12月11日生まれ、27歳。千葉県出身。176センチ、80キロ。右投げ左打ち、投手。木更津総合高、JX-ENEOSを経て、19年度のドラフト4位で日本ハムに入団。22年からアンダースローに転向。同年6月26日・ソフトバンク戦でプロ初勝利。24年度の現役ドラフトで広島に移籍。背番号41。来季年俸3000万円(推定)。





