【選手権100回大会企画31】鳥取の高校野球

 選手権大会の記念すべき1勝目は、鳥取中(現鳥取西)が挙げている。1915年の第1回大会の開幕戦で、広島中(現国泰寺)と対戦。初回に2点差を逆転すると、中盤以降に突き放して、記念すべき“開幕星”をつかみ取った。

 その後も、鳥取西とともに、第1回大会の地方大会から皆勤を続ける米子東(旧米子中)の2校が活躍。県勢は4強へ4回、8強へ5回も進出している。

 一転して戦後は苦戦が続いた。8強以上は、米子東の2度だけにとどまっている。米子東は60年のセンバツで、宮本洋二郎(元広島など)の活躍で準優勝するなど奮闘しているが、県勢としては夏は結果が出ない年が続いた。

 最近20年間で初戦敗退が17回。その間、2014年の第96回大会で八頭が3回戦に進出したのが最高成績で、61年も8強から遠ざかっている。

 夏に2勝を挙げたのも、56年の第38回大会の米子東が最後となる。センバツでは60年に米子東が準優勝している鳥取県勢だが、夏は苦しい戦いが続いている。

 それでも聖地で数々の見せ場を作ってきた。56年の第38回大会準々決勝では、米子東のエース・長島康夫が、同年センバツ王者・中京商(現中京大中京)を相手に快投。県勢では戦後唯一の4強入りを果たした。

 78年の第60回大会は、初出場の倉吉北が聖地を沸かせた。当時は参加18校だった鳥取の代表校が、参加102校の東東京から出場した優勝候補・早実を破った。一回に2点、二回に1点を奪って序盤に主導権を握ると、エース・松本好行が「10点打線」と称された早実打線を7安打に抑えて3-2で勝利。大金星を挙げた。

 81年の第63回大会では、鳥取西のエース・田子譲治(元ロッテ)が快投を見せた。東奥義塾との1回戦。初回の先頭打者に遊撃内野安打を許した後、1人も走者を出さない圧巻の投球で、16三振を奪った。2回戦で早実に敗れたが、荒木大輔(元ヤクルトなど)との投げ合いは注目を集めた。

 84年の第66回大会では、境のエース・安部伸一が法政一を相手に快投。延長十回2死までノーヒットノーランを続けたが、30人目の打者・末野に許した安打がサヨナラ本塁打となって敗れた。

 2012年の第94回大会では、鳥取城北が香川西を下し、県勢として9年ぶりに初戦突破を果たしている。

 鳥取県の高校からは、境・米田哲也(元近鉄)、由良育英・小林繁(元阪神など)、鳥取城北・川口和久(元巨人など)、米子工・角盈男(元ヤクルトなど)、鳥取城北・能見篤史(阪神)と多くの名投手が誕生している。大エースとともに、夏の甲子園を沸かせるチームの出現が期待される。

 ◆鳥取県勢の夏の甲子園アラカルト

【出場回数ベスト5】

1位・鳥取西23回

2位・米子東13回

3位・八頭8回

3位・境8回

5位・倉吉北6回

【勝利数ベスト5】

1位・鳥取西23勝

2位・米子東8勝

3位・八頭3勝

4位・境、鳥取城北、倉吉北、米子松蔭1勝

【最高成績】

4強・鳥取西(4回=1916年、1920年、1924年、1929年)、米子東(1956年)

【通算成績】

110試合

38勝72敗

勝率・345

【主な監督】

 岡本利之…元米子東監督。春夏通算6回の甲子園に出場して9勝6敗。50年の第32回大会で8強へ進出。60年のセンバツでは、エース・宮本洋二郎を中心に、春夏を通じて県勢最高成績となる準優勝に輝いた。

 ◆デイリー独断!鳥取県の高校を卒業した選手のベストナイン

【先発】境・米田哲也(元近鉄)

【中継ぎ】鳥取城北・川口和久(元巨人)

【抑え】由良育英・小林繁(元阪神)

【捕手】米子東・土井垣武(元阪急)

【一塁手】境・太田枝雄(元阪急)

【二塁手】米子東・岡本利之

【三塁手】米子工・松原良明(元近鉄)

【遊撃手】米子東・長谷川善三(元高橋)

【外野手】鳥取西・藤井勇(元大洋)、境・松田和久(元広島)、米子南・赤井勝利(元広島)

(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)

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