改めて感じた守備の重要性 象徴的だった横浜阿部葉太君のダイビングキャッチ【センバツ総括】

 6回、智弁和歌山・荒井の打球を好捕する横浜・阿部葉太(30日)
 横浜・今村の打球を後逸する智弁和歌山・奥
 智弁和歌山・荒井の打球を好捕する横浜・阿部葉
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 高校野球芸人のかみじょうたけし(47)が、横浜の19年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた第97回選抜高校野球大会を振り返った。横浜と智弁和歌山の決勝戦で、改めて感じた守備の重要性と、だからこそ思い返した4年前の記憶とともに、智弁和歌山のリベンジへの期待を語った。

  ◇  ◇

 甲子園に出てくる学校の監督さんから「守備からリズムを作って攻撃につなげる」といったことをよく聞きます。いや、すごいのは打撃ですやん、と思ったりしますが、本当にそうやなと。守備があっての攻撃。打力の印象が強い横浜ですが、大会を通して守備も素晴らしかったですよね。

 決勝戦での象徴的なプレーは、横浜の2点リードでの、六回2死三塁の守備でした。センター・阿部葉太君が、中前へのタイムリーかというライナー性の打球をダイビングキャッチ。もし捕れていなければ…という、流れを引き寄せたビッグプレーとなり、その裏に6得点でした。

 智弁和歌山からすると、一気に突き放された6失点となったわけですが、その中で、1-4から追加された5点目は、サードの奥雄大君が打球を後逸する失策によるものでした。中谷監督は試合後「100%僕の責任」と言われていたそうですが、元々、外野を守っていた奥君をコンバートしたことを踏まえてのことでしょう。

 僕自身、以前から奥君のことをすごくいい選手やなと感じたんです。中谷監督と話すタイミングがあった時に、そんなことを話すと「僕も本当に使いたい選手なんですよ」と言われていて。だからサードへのコンバートを聞いた時には、あの時の言葉通りやなと思ったわけです。

 少し前のことになりますが、智弁和歌山で思い出すのは2021年5月の春の近畿大会準決勝です。大阪桐蔭との対戦で、同点の九回にサードの高嶋君の悪送球からランナーを出してしまい、そこからサヨナラ負け。その後、練習を見に行かせてもらった時のことです。グラウンドに響いていたのは中谷監督の声。「次は負けへんぞ」と、これでもかと高嶋君に気持ちを込めたノックをされていて。

 その前から、中谷監督からは高嶋君について「すごい選手なんで成功させてやりたいんです」と聞いていました。春に痛いミスがあって、でもそれを乗り越えて迎えた夏に、高嶋君も活躍して全国制覇しましたよね。

 今回の奥君が、僕の中であの時の高嶋君と重なったんです。同じように中谷監督から期待されていた選手が、ミスを乗り越えて、夏へ向かう。もちろん、すぐには切り替えられないかもしれないですが、まだやり返すチャンスは残っています。奥君が悔しさを糧にさらに成長して、チームとして4年前の夏のように頂点にたどりつけるかどうか。

 野球に限らず、誰もが失敗から学んで成功につなげるものですよね。春から夏へ、多くの球児の成長を楽しみに、これからも高校野球を追っていきたいと思います。

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