高知・嘉数、数字へのこだわりなくし…つかんだチームMVP
【高知・嘉数勇人投手】文=高田博史
7月12日、嘉数勇人はチームMVP表彰のため、スーツ姿で高知県庁を訪れていた。
「(MVPは)前・後期併せて初めてです。ってか、こういう賞をいただけるのも初めてですから。タイトルも獲ったことないし」
高知に入団して4年目。一昨年は中継ぎとして存在感を見せ、昨年は先発ローテの一角として防御率2位の成績を残した。今年はクローザーとして5セーブ(2位タイ)を挙げている。前期終盤には連戦のなか、先発としてマウンドに登り完封勝利を手にした。
与四球率「0・49」はリーグトップだ。本塁打は2016年から1本も打たれていない。それだけに、初の表彰だと聞かされたことが意外だった。
「いままでも内容は悪くなかったとは思っているんですよ。ただ、数字を見たら、去年も防御率は良かったですけど貯金もできなくて。なので、評価はしてもらえるけど、全体的に見ると大きなものは残せてなかったので」
昨年までの先発から抑えになったことで、少し考え方を変えている。数字へのこだわりをなくした。
「防御率、勝ち星、四死球、あとイニング数も。去年まではすべての部分において意識していたんですけど、クローザーというポジションになって『最終的に勝ってればいい』という気持ちで試合に臨んで。数字はあんまり意識していなかったですね」
先発も中継ぎも抑えも、やって初めて分かることがある。それはすべて、経験として蓄積されている。
前期はあと一歩のところで優勝を逃した。後期はさらに上に目標を置く。優勝よりも、もっと先に。
「去年、キャプテンさせてもらって、あまり口にはしなかったんですけど、やっぱり日本一を目指さないと。そこに行きつくまでの優勝というのも、目標を高く持った方が意識できると思うので。最終目標としては日本一を目指してやりたいと思ってます」
ファンから「嘉数君がいなかったら、優勝できないかもね」と言われた。その期待には、結果で応えるつもりだ。