香川・又吉“NPBで戦いたい”兄・克樹の奮闘に燃える若き右腕
【香川・又吉亮文投手】文=高田博史
又吉亮文が好投を続けている。CS第2戦(9月23日、レクザムBP丸亀)。七回2死二塁のピンチを切り抜けると、八、九回も愛媛打線を完ぺきに封じ、逆転サヨナラへの流れを作った。
27日の対阪神2軍戦(鳴尾浜)でも1イニング無失点、自己最速の147キロを記録している。一昨年は128キロ、昨年は140キロが最速だったことを考えれば、驚異的な成長ぶりだ。
「手探りのなか、これかな?っていうのはあります。阪神戦のとき、あの丸亀の次の試合じゃないですか。一発屋では終わりたくないなと思って。つかめたというか、まだ引き寄せてはいないですけど(目の前で)握ってる感じはあります」
香川からNPBに駆け上がった又吉克樹(中日)は、5歳上の実兄である。入団前、克樹から「一切、何の援助もしない。成績出して自分でつかみ取れ。あそこはそういう場所だから」と言われた。兄が言った言葉の意味を肌で感じている。
「結局、自分で作るものだなっていうのは感じますね。待っていても、どうにもならない」
試合終了後、対戦した選手だけでなく、相手球団の監督にまで自分の投球の印象を聞きに行く。誰も助けてなどくれない。良くなるためのヒントは貪欲に探す。自分でちゃんと消化して結果につなげることが、応援している人たちへの恩返しになるはずだと考えている。
家族とはコミュニケーションアプリを使い、しょっちゅう連絡を取り合う。
「親は毎日のようにおにい(克樹)のピッチングを見ていて。『克、ナイスピッチング!』とか。僕が良かったときは僕のことも褒めますし、兄貴が悪かったら最初に僕を褒めて『克、次は頑張れ』とか。僕は『ありがとう。おにいも頑張れ』とか。おにいも『頑張るわ』とか必ず反応があって」
CSで好投したことは、克樹の耳にも届いている。きっとうれしかったはずだ。
「うれしいんですかね?あの人の着火剤になればいいですし。僕にとってもあの人が刺激なので」
兄のことを「目標ではなく、戦いたい人」と言う。実現させるのはもちろん、NPBの大舞台で。