中継ぎで大事なメンタルの強さ 守るより攻める気持ちが重要
デイリースポーツの評論家に復帰した横山です。月に一度、広島版でこのコラムを担当します。現役時代の思い出やコーチ経験を踏まえた話など、多岐にわたりお伝えできればと考えています。
◇ ◇
今年のカープは中継ぎ争いが例年になく激しいです。栗林と岡本が先発に転向したことで、チャンスが増えました。現代野球では救援陣の整備が勝利には欠かせません。
今回は中継ぎの心得についてお話します。先発と違い、出番が試合展開により左右される中継ぎは準備が最も大事。いかに「早く肩をつくる」かということです。
準備の仕方は人それぞれで、立ち投げを多くする投手もいれば、キャッチボールは少なく、すぐ捕手を座らせて投げる投手もいます。球数も個人差があります。私は23球でした。試合展開を見ながら、ある程度、自分の出番の予測を立てて準備をすることも大切です。私が現役のときは、準備する選手は初回、三回、五回からと3パターンに分けられていました。
初回から肩をつくるのは、先発が序盤で交代することがあるからです。私も初回から登板した経験があります。2003年10月10日の阪神戦(甲子園)です。先発の河内が2人目の赤星への危険球で退場処分を受けたため、急きょ登板しました。肩も気持ちも準備を整えるのが難しく、4点を取られてしまいました。
今の時代は、15球くらいで肩ができた方が良いです。早く肩ができれば、それだけ起用できる選択肢が広がります。いつ呼ばれるか分からない状況に備え、仕事をするのがリリーフですから。
登板前に自分の決めごとをこなす選手も多いと思います。いわゆる「ルーティン」です。特に勝ちパターンで出ていた栗林や島内、中崎らは多かった印象です。私はルーティンはなく、名前を呼ばれてから準備をするというだけでした。
中継ぎは自分が打たれることで人の勝ち星を消したり、チームに負けがついたりします。勝敗を左右する重要なポジションであるからこそ、大事なのはメンタルの強さになります。ルーティンをこなすことで、自然と心に安心感が生まれるんです。体の準備をしながら気持ちも整えていく。同じことを繰り返すことで、いつもと同じ精神状態をつくっていくのです。
初球から100%の球を投げ込むことも中継ぎの特長です。先発は調子が悪くても試合の中で修正し、相手を見ながら試合をつくっていくことができますが、ピンチの場面や短いイニングを任されるリリーフはそういうわけにはいきません。最初から自分の最大の武器で常に勝負します。
マウンドでは「点差を守ろう」と考えるとボール先行になりがちです。私の経験上、守るより「攻めて三振を取って帰る」くらいの気持ちの方が良い結果が出ます。かわそうとして変化球ばかりを投げたり、ストライクゾーンの四隅を狙うのではなく、初球から自分の特長を全て出し切ろうとする気持ちが攻めの投球につながります。
神宮のブルペンは、室内ではなくグラウンドに併設されているので、中継ぎ陣の準備をする様子が見られます。誰が肩をつくり始めたかなどを知れば、その後の起用順なども予想できます。そういう見方も楽しいと思うので、テレビ観戦や球場を訪れた際には、ぜひブルペンにも注目してみてください。(デイリスポーツ評論家)
◇横山竜士(よこやま・りゅうじ)1976年6月11日生まれ、49歳。福井県勝山市出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。178センチ、80キロ。福井商時代は甲子園出場はなかったが、1年秋からエースとして活躍。94年度ドラフト5位で広島に入団。97年に中継ぎながらプロ初勝利を含む10勝を挙げる。先発、中継ぎ、抑えと幅広く活躍し、プロ20年目の2014年に現役引退。通算成績は507試合に登板、46勝44敗17セーブ110ホールド、防御率3・42。20年から昨季まで広島で投手コーチを務めた。
