“兄妹げんか”は妹の勝ち 松村千・谷田組が代表決定 盛大決着…次は“兄妹五輪”だ

 決定戦第2試合で勝利し代表に決まり、ポーズをとる松村千秋(右)、谷田康真組(代表撮影)
カーリング五輪代表決定戦をめぐる人物相関図
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 「カーリング混合ダブルス・北京五輪代表決定戦」(20日、稚内市みどりスポーツパーク)

 松村家の“兄妹対決”は妹が制した。20年日本選手権優勝の松村千秋(28)=中部電力、谷田康真(27)=コンサドーレ=組は、21年日本選手権優勝の吉田夕梨花(28)=ロコ・ソラーレ、松村雄太(31)=コンサドーレ=組に決定戦で7-5、8-7と連勝し、通算3勝1敗として、22年北京五輪出場を目指す日本代表に決まった。今後は12月の世界最終予選(オランダ、レーワルデン)に出場し、残り2枚の五輪切符獲得を目指す。

 悲願の勝利に、妹の目は潤んでいた。「やっとスタートラインというか。10年かけてきたものがある」-。同点で迎えた最終第8エンド。最後は兄・松村雄のショットが決まらず、妹・松村千に軍配が上がった。喜びを分かち合うように谷田とハイタッチし、固く手を握り合う。「ホッとしています」。胸をなで下ろした表情は、喜びにあふれていた。

 劣勢でも心乱すことなく、冷静に石を投げ続けた。3-6で迎えた第6エンド。最後は松村千のショットで一挙4点を決める「100点のエンド」で逆転に成功した。流れをつかむと、第8エンドは有利な後攻を7-7で迎え、相手に攻撃の隙を与えなかった。

 松村千にとって、悲願の代表切符だった。4人制女子では14年ソチ五輪、18年平昌五輪、22年北京と3大会連続で五輪出場を逃してきた。決定戦を争った4人の中でも、唯一北京五輪を目指す日本代表に決まっていなかった。「やっと日本代表になることができた。自分の力で五輪のチケットを取りに行ける」。募った願いは、夢舞台への道を切り開いた。

 幼少期、何度も負かされた兄への勝利だった。昔は兄との争いが絶えず、「態度では勝ってたと思うけど、3歳の年の差があると勝ててはいなかった。返り討ちにされてました」と笑うほど。そんな子供たちを、両親は「兄妹げんかしてこい」と最大のエールで送り出した。

 負けん気の強さから、2月の日本選手権では決勝で兄に敗れて涙した。ショットの精度でも負けていた半年前とはもう違う。「今回は兄にも投げ負けてなかったかな」。今度は喜びの涙で顔をくしゃくしゃにした。

 最大のライバルは強力な味方となる。「絶対に超えなければいけない壁だった。私も『チームジャパン』に仲間入りができた。そこに兄がいるのは頼もしいかなと思います」。五輪出場は12月の世界最終予選で決まる。盛大な“兄妹げんか”は決着した。今度は“兄妹五輪”へ突き進む。

 ◆混合ダブルス 北京五輪への道 出場枠は10。開催国の中国を含め、すでに8チームが決定。12月にオランダ、レーワルデンで開催される世界最終予選において、14チームで残り2枠の五輪出場枠を争う。18年平昌五輪から採用された混合ダブルスで、日本チームが出場すれば史上初となる。男女4人制のコンサドーレ、ロコ・ソラーレも、同最終予選で、残り3枠の五輪切符獲得に挑む。12月5~9日で混合ダブルス、11~18日に男女4人制が実施される。

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