豊昇龍 大関の意地!V争い1差迫った 綱とり残った!八角理事長可能性否定せず 平常心強調「一日一番」
「大相撲初場所・12日目」(23日、両国国技館)
綱とりの大関豊昇龍が金峰山をはたき込み9勝目。優勝争いで1差に迫った。平幕に3敗を喫しているため、逆転優勝でも横綱昇進は微妙な情勢だが、八角理事長(元横綱北勝海)は大逆転での昇進を否定しなかった。2敗の金峰山が単独トップ。3敗で豊昇龍、王鵬、尊富士、霧島が追う混戦となった。綱とりだった大関琴桜は7敗目で、かど番危機に陥った。
これが大関の意地だ。豊昇龍は金峰山の動きを読み切っていた。立ち合いのもろ手突きに対し、右に開いて左手をたぐった。足が出ない相手にバタリと手をつかせた。
足取りも軽く引き揚げ「右から攻めようと思った」と説明。元横綱朝青龍のおいが、朝青龍が柔道から相撲にスカウトした金峰山を退けた。逆転優勝も視界に入ってきたが「意識していない。一日一番、という気持ち」と平常心を強調した。
平戸海に3敗目を喫した9日目。部屋に戻った豊昇龍は、師匠の立浪親方(元小結旭豊)から助言を受けた。
「楽しくやろう」
その言葉で重圧が軽くなった。翌日から白星を重ね、「いい感じでできている」と相撲内容にも納得。久しぶりの感覚か、と問われると「そうだね」と応じた。
立浪親方は豊昇龍が3敗を喫した後「場所前から力が入りすぎていた。もう少し余裕がある相撲が取れるようにならないと」と心配していた。助言が奏功し、この日の取組前には「開き直ったね。吹っ切れたよ」と話した。10日目に連敗を脱出した弟子から、「もう大丈夫です」と伝えられたという。
優勝に1差。平幕に3敗し、昇進直前場所で連敗した横綱が過去にいないことから、優勝しても昇進は難しい情勢だ。ただ、八角理事長(元横綱北勝海)は「豊昇龍が見えてきたんじゃないの」と逆転優勝の可能性を挙げ、さらに大逆転での横綱昇進にも「うん…」と否定はしなかった。
綱とり成就に風雲急を告げる急展開と大混戦。豊昇龍は「残り3日。いい相撲を取って終わらせたい」と静かに闘志を燃やした。