なぜ高須克弥は好角家に? 闘病中もパートナー西原理恵子さんと砂かぶり席観戦「部屋のタニマチというより個人につく」
高須クリニック院長の高須克弥氏(80)は著名な美容外科医で、自身の体で美容手術の効果を試す被験者で、豊富な人生経験と人脈に基づいて、トラブル覚悟で支援を惜しまない篤志家でもある。そして、パートナーで漫画家の西原理恵子さん(61)と大相撲を砂かぶり席で観戦する姿がおなじみで、横綱豊昇龍ら力士のタニマチとしても知られている。このほど“好角家・高須克弥”について、本人に直撃した。
両国国技館で開催される大相撲本場所。東の砂かぶり席で西原さんとツーショットで観戦する姿が、テレビ中継に映り込むのがおなじみとなった高須氏。2019年秋場所では正代と竜電の取組で両者が近くに落下。「正代なんかは僕とぶつかって、大丈夫かって声をかけました。それから懸賞を出すようになりましたよ」と振り返った。「両国ではいつも2日目にあの席に行きますね。名古屋も席はあるけど行かないの。カメラが向かない場所なんでね」と笑った。目立ちたい心根は若々しいままだ。
不祥事などで問題視されたテレビ番組、特定の政治活動への応援に名乗りを上げ、女子アイスホッケーへの多額寄付でも注目を集めた。「老後は自分の稼いだ分を世の中にばらまくのが趣味」と話す高須氏が、大相撲に関わったのは2000年代後半、横綱朝青龍との交流が始まりだった。「(美容外科で有名な)本田(昌毅)先生が朝青龍の主治医でした。本田先生から応援に誘われました」と明かす。
朝青龍は10年に諸問題が重なり引退を余儀なくされたが「むしろ、その後の方がモンゴルに遊びに行ったりして仲良くなった。子どもが乗る競馬大会があって、朝青龍の馬が優勝したの。その馬に乗っていたのが豊昇龍。あの小さかった子どもがね」と感慨深げに話した。
豊昇龍への応援は元朝青龍となったドルゴルスレン・ダグワドルジ氏から「おいの豊昇龍をよろしくお願いします」と頼まれたのが始まりという。大関昇進時には飛騨牛1頭分の肉をプレゼント。「相撲の時は怖い顔するけど、笑うと本当にかわいいんだよ」とうれしそうに話した。横綱昇進時には龍をあしらった三つぞろえの化粧まわしを贈った。「この化粧まわしを着けて優勝額の撮影をすると立浪親方に言われています」と、昇進後初優勝を楽しみにしている。
他にも先代の伊勢ノ海親方(元関脇藤ノ川、森田武雄氏)に頼まれ、現役時代の勢(元関脇、現春日山親方)のタニマチを務め、現在は弟弟子にあたる錦木への応援を続けている。「僕は部屋のタニマチというよりは、個人につく方が多いかな」。現役引退後の安治川親方(元関脇安美錦)を応援するようになり、その弟子の安青錦には、豊昇龍や勢、錦木へのものと同様に西原さんのイラストをモチーフとした化粧まわしを贈るなどしており「どこまで強くなるか楽しみだね」と期待を寄せている。
14年にがんを発病して11年。現在は全身がんで闘病中の高須氏は「がんっていうのは非常にいい病気なんです。すぐ死なない。必ず死ぬけど、それはがんにならなくても一緒。がんは当分の間、いろんなことができる」と明るい口調で話す。さまざまな先端医療を受け「新しい治療が出てくるのを待つのも結構楽しい。いっぱい実験しました」と語った。痛みやだるさ、今夏には緊急入院するなど体調は悪化しているが、言葉に悲壮感はない。
闘病の中でも変わらぬ大相撲愛。高須氏は「格闘技はみんな好きなんです。でもね、相撲は一瞬で勝負が決まるでしょ。丁半博打みたいな面白さがあります。場所が進むにつれて星の潰し合いになるように組んでいくのも面白い」と語る。生粋のギャンブラー。信念は「逆張り」だ。これからも土俵に対して、篤志家の優しいまなざしと、勝負師の厳しい視線を一緒に向けていくのだろう。
◇高須克弥(たかす・かつや)1945年1月22日生まれ、愛知県出身。江戸時代から続く医師の家系に生まれ昭和大学(現・昭和医科大学)医学部医学科卒業。同大学大学院医学研究科博士課程修了。74年に高須医院を開院。76年に美容外科の高須クリニックを開院。多数のテレビ出演を果たし、自ら広告塔としてクリニックの躍進を支える。中国・韓国などアジア諸国を中心に講演活動にも従事。「生涯現役」を宣言しており、80歳の現在も「銀座高須クリニック」の現場に立ち続けている。家族は死別した妻、3男。漫画家の西原理恵子さんは事実婚のパートナー。





