三重テレビ・奥村アナ 筋トレで人生一変 筋肉で100社以上落ちた就活乗り越えた
三重テレビ・奥村奈央アナウンサーは筋トレに出会い、人生を一変させた。今年は三重県オープンフィットネス大会・ビギナーズフィットネス部門でコンテスト初優勝を果たし、現在は“筋トレアナウンサー”として活躍。「自分のことを好きになれた」と言葉の節々から筋肉愛がにじみ出た。
筋トレに出会ったのは大学4年の秋。小学4年生の頃から夢だったアナウンサーを目指して就活をしていたまっただ中だった。「絶対にアナウンサーになりたくて(大学)1年生の頃からインターンなどを受けに行っていました」。熱意を持って狭き門をくぐろうと奮闘するも、そう簡単ではなかった。
民放だけでなく北海道から沖縄まで全国各地の地方局などの試験を受けるも、ことごとく落選した。100社以上のお祈りメールが積み重なっていき「才能がないんだ」と心は憔悴(しょうすい)しきっていた。「2022年度に日本で一番採用試験に落ちたアナウンサー」と自負するほど苦戦していた中、心の支えとなったのが筋トレだった。
偶然、母が筋トレ番組を見ていた時に「やってみたら?」と薦められた。当時は「アナウンサーでムキムキはダメなんじゃないか」とためらいながらも、就活の気分転換のためにダイエット目的で開始。自宅で軽く腹筋を始めたところから筋トレ人生がスタートした。
年をまたいでようやく就職先が決まり、アナウンサーになる夢をかなえた。社会人1年目で環境も変化したが、筋トレは継続。市営ジムにも足を運び、自己流で汗を流し続けた。身体は着実に変化していた。「筋トレ楽しいな。頑張ったら痩せられるんだ」。日々感じ取れる成果を原動力に仕事と両立しながら鍛錬を積んだ。
大会出場を目指し始めたのは2023年の夏頃。就職した会社から三重テレビに転職し、「何か一つのことを頑張ってみよう」と1年後にステージに立つことを目標に設定した。テレビに写る筋肉界で活躍する女性を目にし「みんな生き生きしていてかっこいい」とフィットネス女王・安井友梨などの姿に憧れ、覚悟を決めた。
「三重、ボディビル、ジム」でネット検索し、大会出場選手が在籍する「トレーニングジム KENKODO」に入会。アナウンサーとしてキャリアを積む傍らで週5、6回はジムに通い、必死に肉体を追い込んだ。「鏡を見るたびにでかくなっていって。自信がついた」。2024年の初出場の大会では最下位となるも、その悔しさからさらに筋トレ熱が加速。今年は栄養の知識などを学習し、パーソナルなどにも通ってレベルアップを果たし、悲願の大会初優勝を遂げた。
画面を通して情報を伝えるアナウンサー業。多くの人に見られる職業であり、体形にコンプレックスを抱きやすい一面もある。奥村アナも就活をしていた頃から「アナウンサーは細くないといけない。痩せてないといけないのかなと思っていた」と固定概念にとらわれていた。その考えが変化したのも筋トレと出会ったからこそ。アナウンサーが筋肉をつけていいのか、もっと細くないといけないのでは-。葛藤を抱えて鍛えてきた中、最後は自分に自信を持てたことで“答え”にたどりついた。
「筋トレを始めて人生が変わった。女性=痩せていなくてもいい。人の目を気にして縛られる必要はない」
バーベルと向き合い、自問自答を続けた時間が今の糧となっている。ありのままの自分でいい。筋トレアナウンサーとして、その信念を体現していく。(デイリースポーツ・北村孝紀)
