ハンディ持ちのボディビルダーが教えるパーソナル【メガネフィットネス】

 レンズの奥から確かな目を光らせて、顧客に筋トレの魅力を伝えてきた。関西を中心にパーソナルトレーナーとして活躍する多田健司さん。苦難を乗り越えてフィットネス普及に汗を流す仕事人に迫った。

 人生を揺るがしたアクシデントが今の原動力となっている。大手セキュリティー企業に勤めていた27歳の時にバイク事故に見舞われた。右手に大きな損傷を負い、障害者手帳5級に相当するほど右手の機能は低下。「字を書くこと、お箸を使うことすらできなかった」と当たり前にできていた握るといった動作が困難となり、一瞬で日常生活は一変した。

 約半年間に渡るリハビリに励んだが、思うように手は動かない。思わず周囲に当たってしまうほどメンタルも不安定になった。それでも「使えないから諦めるのではなく生活から取り戻そうと。命があってよかった」と前を向き、障害の壁を乗り越えていった。

 筋トレと出会ったのは35歳。仕事のつながりがきっかけでジムに通い始めた。月日がたっても右手の機能は以前のように戻っていなかったが、体を鍛えることの魅力に惹かれて真剣に打ち込んだ。当初は右手首が曲がらないことからベンチプレスなどもオーソドックスな握りができず。「できないことに葛藤もあった」と悩む時期もあったが「ほかにやり方がないかなと。ベンチプレスも持ち方を変えればいい。いびつならいびつで自分の経験を武器にしたらいい」と、自らの体に合った方法でトレーニングに熱中。40歳で初めて大会出場を果たし、42歳でJBBFの岡山ボディビルマスターズ、四国ボディビルマスターズ優勝。2022年は兵庫県の大会でクラシックフィジーク2位と競技者として表彰台に上がるまでに成長を遂げた。

 46歳で27年間のサラリーマン生活に別れを告げ、パーソナルトレーナーを生業とするために脱サラ。「アンチコンタクト!漢ならメガネ」と師事を仰いでいたボディビル日本選手権9連覇の鈴木雅氏が考案した「メガネフィットネス」の屋号で本格的にトレーナーとして活動を開始した。不自由だった右手を“武器”とし筋トレを通して体を変えて人生も変えた。

 「体作りを通じて人生がばら色になって他の人にも伝えたいと思った。こんなに人生が変わることができるんだと。変われる喜びで自信がつく。それの一歩を踏み出すことを後押ししたい」

 現在はサラリーマン、OLなど一般トレーニーから「プロレスリング・ノア」で活躍する宮脇純太選手らプロレスラーなどのアスリートまで、多岐に渡って指導に汗を流す。「一つの視点から見ないように。やり方に正解はなく、生活スタイルもさまざま。絶対にこれじゃないといけないとならないように教えている」。自身が“不自由”を経験したからこそやり方にこだわらない。お客さまに合わせたサポートを提供し筋トレの魅力をもっと多くの人に伝えていく。

 【メガネフィットネス】

 HPはこちら

 http://megane-fitness.com/

 インスタグラムアカウント

 @ken__fitness

編集者のオススメ記事

フィットネス最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス