ビキニフィットネス世界選手権3位・廣中れな 肉体で人生を切り開く 離婚、詐欺などを乗り越え世界で戦う母の姿とは
デイリースポーツの記者が独自目線で注目した人物、スポーツなどを掘り下げるクローズアップ。今回は北村孝紀記者がビキニフィットネスで世界選手権3位の経歴を持つ廣中れな選手(35)に注目。離婚、詐欺などの波乱を乗り越え、世界の舞台に立ったシングルマザーの奮闘劇に迫った。
廣中の覚悟を宿した筋肉はステージで輝きを放つ。球体のような丸みを描くヒップ、筋張った腕、メリハリのある砂時計型のシルエット。人生を懸けてトレーニングに打ち込み、世界で戦う肉体を築き上げた。
フィットネスに出会ったのは30歳の頃。動物病院の経営に携わり子育てをしながらも、ストレス解消のためにジムに通い始めた。初心者で知識がないながらも昼休みの30分間で自己流のトレーニング。「腕が太くなったらそれだけテンションが上がって」と変化がモチベーションの一つとなった。仕事と育児で体力は限界。それでも「メンタル的なところが大きくて。体に負荷をかけることだけに集中できる。体力を削ってでも行く意味はあった」とジムで過ごす30分は守り抜いた。
その後、離婚を経験してシングルマザーとなり、同時期に詐欺被害にもあった。どん底に突き落とされたが、トレーニングが支えとなった。2021年にビキニフィットネスの大会に初出場するも惨敗。「1年だけ時間が欲しい。1年間で1位になるような選手になれなければ、一切フィットネスに関わらない」。子育てを助けてくれていた両親に頭を下げ、1年だけ競技者として夢を追うことを決意。アルバイトで生計を立て、子育てに奮闘しながらも本気で自らの肉体と向き合った。
翌年はJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の全国規模の大会・オールジャパンで準優勝。タレントとしても活躍する絶対女王・安井友梨と戦えるレベルにまで進化を遂げ、24年には世界選手権でもメダルを獲得した。「パパがいない分、自分が背中を見せないと。私が頑張っている姿を見せるのが一番だと思った」。戦う母の勇姿は子どもたちに届いた。ステージで夢をつかみ、今では自らのジムを経営しながら多数のメディアにも出演。死ぬ気で体をいじめ抜いた1年を糧に、シングルマザーとして道を切り開いた。
「子どもと向き合うためにも母親一人の時間というのはすごく大事。フィットネスをやれば幸せになれると思う」。筋トレは人生をも変えられる手段の一つ。その魅力を伝えていく。(北村孝紀)
◆廣中れな(ひろなか・れな)1990年6月15日、鳥取県米子市出身。166センチ。学生時代はバスケットボール部に所属。2022年にビキニフィットネスでJBBF兵庫選手権、西日本選手権オーバーオールで優勝し、同年から3年連続でオールジャパン163センチ超級準優勝。24年はIFBBアジア選手権で準V、同世界選手権166センチ以下級で3位となった。
