山下美夢有 大会連覇で2年連続年間女王「自分をほめていい」 海外メジャーリベンジ&パリ五輪意欲
「女子ゴルフ・ツアー選手権リコー杯・最終日」(26日、宮崎CC=パー72)
首位から出た山下美夢有(22)=加賀電子=が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算10アンダーで逃げ切って大会連覇&2年連続年間女王の偉業を成し遂げた。賞金女王を含む連続での年間女王は、1988年のツアー制度施行後では6人目。6月のニチレイ・レディース優勝後は海外メジャーなどで不振に陥り、勝利から遠ざかっていたが、シーズン最後の大一番で今季5勝目、通算11勝目を挙げた。3打差の2位に高橋彩華。申ジエは4位、岩井明愛は24位で逆転女王はならなかった。
今年もやっぱり強かった。気持ちのこもったウイニングパット。酸いも甘いも味わった今季の終わりに、山下は2年連続で最高の勲章を手にし、とびきりの笑顔を浮かべた。
「もう一言で、すごいうれしい気持ち。自分をほめていいと思う」
逆転女王を狙う申ジエと6打差でスタートしたとはいえ「プレッシャーというか、緊張も去年よりあった」という。3番パー4は3オン2パットで落とすと、5番は5メートルのパーパットがカップに蹴られ、序盤はボギーが先行。重圧に加え、メジャーの難コースは一筋縄ではいかせてくれなかった。
追い上げを見せる高橋に並ばれ、中盤戦へ。だが、そのままずるずると引きずないのが山下を女王たらしめる強さ。前日にダブルボギーを打った8番パー3で11メートルの長いバーディーパットをねじ込むと、「リズムが良くなった」と続く9番もバーディー。後半も尻上がりに調子を上げて2つ伸ばし、2位以下を振り切った。
「やっぱり去年と比べる部分があって、空回りしてしまうところがあった」と昨季の年間女王の重荷を背負った1年。好調の前半戦に4勝を重ねたが、6月のニチレイ・レディース以降は勝利が遠かった。歯車が狂いだしたのは7、8月に挑戦した海外メジャーからだった。
右から左に曲がる持ち球のドローが合わない海外コース。対応しようと右に曲がるフェード気味の球を打つこともあったが、これが落とし穴に。「急に変えてしまった部分が良くなかった」。本来のスイングを取り戻したのは終盤の10月中旬。夏場はセッティングに試行錯誤していたパターも、昨年使用していたものに戻して「当分変えません」と笑う。
視線に映るのは来季。米女子ツアーの予選会には出場する予定はないが、今年結果を残せなかった海外メジャーのリベンジに燃える。加えてパリ五輪出場にも「出たい。特別な大会」と意欲。22歳の日本の女王が、次に狙うのは世界の女王だ。
◆山下美夢有(やました・みゆう)2001年8月2日生まれ。大阪府寝屋川市出身。5歳でクラブを握り、大阪桐蔭高では17年関西高校選手権、19年関西女子アマ選手権で優勝した。西郷真央、笹生優花と同じ01年度生まれで、高校3年時の19年プロテスト合格。21年KTT杯バンテリン・レディースで初優勝し、22年は5勝を挙げ、21歳103日で史上最年少の年間女王に輝く。家族はコーチの父・勝臣さん、母・有貴さん、近大3年で男子下部ツアーで優勝経験がある弟・勝将さん、高校1年の妹・蘭さん。150センチ、52キロ。加賀電子所属。





