鈴木愛が通算22勝目 あと4年、35歳での永久シードに大きな弾みとなる勝利「そこまで年2勝ずつすればギリギリ届く」
「女子ゴルフ・ツアー選手権リコー杯・最終日」(30日、宮崎CC=パー72)
通算6アンダーで出た鈴木愛(31)=セールスフォース=が6バーディー、3ボギーの69で回り、通算9アンダーで並んだ岩井千怜(23)=Honda=との、2ホールに及ぶプレーオフの末今季2勝目、通算22勝目を手にした。
実力者・鈴木の勝利を驚く人は少数派だろう。しかし、戦いを終えた瞬間の涙が、平坦ではなかった道のりを想起させた。
この試合、このラウンドもそうだ。前を行く岩井千が出だしから3連続バーディーと、どんどんスコアを伸ばしていった。
一方で鈴木はひたすら自らのプレーに集中。スコアボードも見なかった。10番から4連続バーディーでトップに立ったことも知らない。
18番、右の深いバンカーから6メートルにつけ、2パットのボギー。ここで、ようやく“現在地”を知る。岩井千とのプレーオフ。
1ホール目をパーで分け、2ホール目、ティーショットをミスした岩井千がボギー。鈴木は右ラフからグリーンを捉えて、22メートルのパットを2打で沈め、両手を挙げ、そして泣き笑いの表情を浮かべた。
8月下旬のニトリレディースで優勝も、9月下旬のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンから2週前の伊藤園レディースまで6試合連続の予選落ち(伊藤園の前週、TOTOジャパンクラシックの5位は予選落ちがないため除外)という自己ワーストの不調に見舞われた。
「今までで、一番苦しかったシーズンだったかも。回りからは体調まで心配された。そうじゃないのに、調子が上がらず、気持ちもついてこなかった」という。
そこを、経験で乗り越えた。左へ曲がりすぎ「いつもラフから2打目を打っていた」というドライバーは、立ち方、振り抜き方向の工夫で改善。「入らない」パットは、「よっぽど悪い時の最終手段」として、この5、6年では2度ほどしか使わなかった、ヘッドの大きい、簡単なモデルに変更。
これにより前週のエリエールで予選突破も果たした。そして迎えた今週。「これが終わればやっと休める」と、苦しさからの解放をよりどころにプレーした。その先に待っていた22勝目。「35歳までに永久シード(通算30勝)が目標。そこまで年2勝ずつすればギリギリ届く。だからこの1勝は大きい」。ゴルフ人生最大の目標へ、大きな弾みとなる勝利を手にした。





