「鬼平」チーム 吉右衛門さん悼む 多岐川裕美「間近で生きた芝居…、私の宝物」
歌舞伎俳優で人間国宝の中村吉右衛門(なかむら・きちえもん)さんが11月28日午後6時43分、心不全のため都内の病院で死去したことが1日、分かった。「鬼平」チームからも悲しみの声が寄せられた。
テレビ時代劇での代表作「鬼平犯科帳」チームも、座長・吉右衛門さんを悼んだ。
28年にわたって密偵・伊三次として鬼平に仕えた三浦浩一(67)は「威厳があって、現場では鬼平そのもので、だけどおちゃめでチャーミングな方。すべてのスタッフ、俳優に愛されていました」と声を震わせた。最終話のラストは、鬼平が密偵たちに酒をつぎ、おのおのが飲み干すシーン。「別れ酒のようで、涙をこらえるのに必死でした。『鬼平』あっての僕でした」と存在の大きさを語った。
父の江戸屋猫八さんと親子二代で共演したおとき役の江戸家まねき猫(54)は「一番思い出すのは、お役のまま、お椅子に座られて静かにニコニコされている姿」と振り返った。浜町の実家にお昼を食べに来たこともあり、「納豆ご飯」を所望。「普段のものもお好きだったんだと思います」と、庶民的な一面を明かした。
尾美としのり(55)は、放送開始の89年からファイナルの16年まで“うさ忠”こと同心・木村忠吾役で共演。「とてもとても残念です。心よりご冥福をお祈り申し上げます」と無念さをにじませた。
勝野洋(72)は、91年の第3シリーズから筆頭同心・酒井祐助役を務めた。「所作から心の動きまで、たくさんのことを教わりました。お芝居に対する吉右衛門さんの熱意と優しさ、そして大きさ。それをたくさん学ぶことができました。本当に素晴らしい、素晴らしい方でした」と人柄をしのんだ。
鬼平の妻・久枝役の多岐川裕美(70)は「言葉もありません」と絶句。「長い間、間近で生きた芝居を見せていただけたこと、私の宝物です」と感謝し、「ご家族のお気持ちを思うと、涙が止まりません」とつづった。