【山田美保子のミホコは見ていた!】対応急がれるフジテレビCM差し止め
「多数の広告主・広告会社にご迷惑をおかけしております」とはCM差し止めを決めた企業が50社を超えたフジテレビが出したコメントだ。スポンサーで成り立つ民放局のフジテレビにおいて、このままCM差し止めが増え続ければ「経営危機に陥る可能性さえある」と専門家は指摘している。
こうした動きがいっきに拡大するきっかけとなったのは17日に行われた港浩一社長による会見が「失敗」とみなされたからに他ならない。
被害女性のプライベートや二次被害防止を優先することは重要で、それを理由に話せないことが多かったのは理解できる。だが、それを「逃げている」「隠している」と感じた視聴者も少なくない。
定例会見を前倒しして行った緊急会見だったため準備が足りなかったのかもしれないが、本来この会見では、世の中に出回っている臆測や伝聞などを否定し、報道に出ているどの部分が事実と異なっているのかを説明すべきではなかったのか。
トラブルを把握してから一年半も経っていたにもかかわらず、調査は不十分で、結果、多くの視聴者がフジテレビに対し、さらに疑念を抱くことになってしまった。果たして広告主が相次いで出稿差し止めの判断をした。
制作現場も混乱しているだろうが、営業局はもっと混乱しているだろう。他局で流れているCMを見ればわかるように、年明けは新たなキャラクターが起用されたり、新作が多数オンエアされたりするのが時期だ。それがフジテレビでは流れないのだからCMに出演しているタレントも困惑しているに違いない。
言うまでもなく民放の番組とCMの関係は密接で、CMタイムにはレギュラー出演者やドラマのメインキャストがキャラクターを務めるCMが何本も入るものだ。過去、フジテレビではドラマの内容とリンクさせ、キャストが商品やサービスを訴求するコラボCMもよく企画された。フジテレビらしさもある楽しいオリジナルCMもあったというのに、これらもCM差し止めにより、その多くが見られなくなってしまった。
フジテレビには系列会社と共に運営している「フジサンケイグループ広告大賞」というCMコンテストがある。同賞はクリエイターやコピーライターではなく広告主に贈られるものだ。贈賞式も華やかで、同局と広告主との関係は極めて良好だと私には見えていた。
それも崩れてしまいかねない今回の事態。フジテレビの対応が急がれる。