【半崎美子】ツアーでのお釣りの準備は欠かせない

 「土の中からこんにちは=5=」

 今から十年くらい前、「いつか全国ホールツアーをしたい」と、出会った人には必ずといっていいほど宣言していました。ただ漠然と、ホールツアーとうわごとのように言い続けていた私ですが、この春、ついに初めてのツアーが実現しました。

 全国とまではいかないですが、札幌、大阪、名古屋、東京の4都市で開催。有難いことに全会場チケットが完売という、初のツアーにおいて、これ以上ないくらいの盛り上がりを見せてくれました。最後はスタンディングオベーションで皆さんに見送られ、今思い出しても胸が熱くなる、眩く愛おしい景色でした。

 個人で活動していた時は、一年に一度の集大成として自分の一年間の貯金を使い果たす勢いでコンサートを開催していたので、それを4会場で開催するといったいどうなるのだろうと想像を深めていました。これまでの経験上、公演を開催するにあたって、何が必要で何にどれくらいお金がかかるのかなど、全てを把握していただけに、ツアー4会場分のあれこれを算段するだけでも面白みがありました。

 ついついこれまでの癖で、お釣りが途中でなくなってしまうのでは、と100円や500円の束などを何本かカバンに忍ばせたり、ロビーでどれくらい借りられる机があるのかなど気になって事前に問い合わせたりと、やはりスタッフ的な動きが今もしみついているようです。

 仮にもし、十年前にホールツアーができていたとしても、何も知らずにただ歌う事しかできなかった。一つの公演をする事にどれだけの人が関わり、どれだけの時間やお金を動かすことになるのか、知った上で今こうしてツアーを回れている事に感謝しています。

 毎年コンサートの開催で貯金を使い果たしていた私ですが、それを差し引いてもお釣りがくるほどの経験をさせてもらいました。今後さらに規模が拡大したり、開催場所が増えていく事を想像しながら、お釣りの準備はやはりしておこうと思います。

 ◆半崎美子(はんざき・よしこ)1980年12月13日生まれ、札幌市出身。札幌大学を1年で中退、歌手を目指して上京。パン屋で住み込みアルバイトをしながら音楽活動を続けた。芸能関係者にだまされた経験からレコード会社や事務所に所属せず、モールに飛び込み営業をかけるスタイルで場数を踏む。“ショッピングモールの歌姫”“泣かせ歌の女王”と称される。

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