かつさゆ・さゆり 32年間かけられた「魔法の言葉」、借金抱えても仲良し夫婦の極意

 取材した日はちょうど結婚から25年目の銀婚式。仲良く25ポーズを見せるかつみ・さゆり=MBS(撮影・吉澤敬太)
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 夫婦漫才コンビ「かつみ・さゆり」は鉄板の借金ネタで笑いをかっさらう。その額は億を超えるというのに仲むつまじく、先月27日に銀婚式を迎えた。結婚して25年。コロナ禍にYouTubeで「ボヨヨンチャンネル」を開設し、さゆりが「51歳すっぴん大公開!」と素顔をさらした動画は再生回数130万回を超えた。夫婦仲良しの秘訣(ひけつ)は妻にあるのではと考え、MBS「せやねん!」(土曜、前9・25)終わりにさゆり(51)を直撃した。

 -コロナで仕事にどのような影響が。

 わたしたちロケタレじゃないですか。一番ひどい時でロケが9割減りました。

 -それでYouTube「かつさゆのボヨヨンチャンネル」を。「51歳すっぴん大公開」は130万回の再生ですね。

 あはははは!もう、必死のパッチでやってるんです。仕事が減ってもうちは毎月お支払いしなきゃいけない取引先がたくさんあるじゃないですか。

 -借金の返済先が。

 その皆さんを困らすわけにいかないので、とにかく何かせなあかんと。吉本も芸人が困りだしたんで「YouTubeやれる人はやってください」って支援もしてくれました。吉本をいろんな人が離れていったけど、けっこういい会社ですよ。仕事が減ったときに吉本ファイナンスっていう子会社から電話があって、「かつみさゆりさん、もう無理ですよね」ってお金貸してくれました。すぐに電話をくれたのはありがたかったです。

 -「かつみ・さゆり」結成は中田カウス師匠が後押し。

 「どんきほ~て」(かつみが以前組んでいたコンビ)が解散して、かつみさんは吉本に行って「若手が断った危険な仕事でも承ります」っていう看板を持って仕事とりにいったんです。ほんとに危険な仕事ばっかりやったんです。ワニとチューとか、サソリとなんとかとか、真冬の道頓堀川に飛び込むとか。道頓堀川が今みたいにきれいじゃない時です。わたしはかつみさんのことが心配で。藻が絡んで浮き上がってこられなかったらどうしようって考えたり。だからチアガールのポンポンみたいなのを作ってディレクターさんに呼ばれもしないのに現場に行ってカメラさんの後ろで「かっつみ、頑張れ、かっつみ、頑張れ」って応援してたんです。

 -素敵です。

 音声さんから「うるさいです」って言われて。ポンポンがシャカシャカ鳴るから。それでちいちゃいのを作って、「ボヨヨーン」ができたんです。そんなことをカウス師匠が知って下さって、かつみさんに「おまえ、どこ見とんねん」と。「ええ相方が隣におるやないか。嫁とコンビ組め」と。わたしもかつみさんも「どうやろ」って思ったんですけど、わたしら借金があってお尻に火が付いてるどころじゃない、守るべきものが今の2人にあるのかと。それでコンビを組んだんです。

 -決断は大変だったのでは。

 どんきほ~てが解散してかつみさんが急に1人になったとき、かつみさんもわたしも「夫婦コンビになる」っていう発想は1ミリもなかったんです。よくあるのが、男コンビを組んでいた人が解散して奥さんと夫婦漫才コンビを組むというのは一番安易で同時に一番難しい。夫婦だと仕事先で険悪なことがあったら家に持ち込むことなりますから。切り替えが難しいのでお別れされる夫婦コンビを見てきました。

 -「ボヨヨンチャンネル」で印象に残ったのは「魔法の言葉編」です。さゆりさんは「かつみさんと暮らし始めて32年、魔法の言葉をかけられてたんです」と。

 ずっとです。今もさゆりのことを「さゆりちゃん」って言うでしょ。32年間一緒にいる奥さんのことをちゃん付けで呼んでくれる旦那さん、なかなかいないです。借金とか大変なことはありますけど、精神的に満たしてくれることがいっぱいあったからこの銀婚式まで仲良くやってこれたと思うんです。

 -かつみさんはどんな魔法の言葉を。

 「かわいいね」ってすっごい言ってくれます。昔も今も。新しいお洋服を買った時に「それすっごい似合う、かわいい」とか、さりげなく。絶対に言わないのが「年がいもなくそんなの着るな」とか。世間一般の基準では測らないです。

 -夫婦仲良くの秘訣のようなものを。

 コンビを組むときにかつみさんが言ったことで、例えばここに一枚のガムがあるとして、指先で半分に切ったら大きい方と小さい方が出ますよね。かつみさんは「大きい方を相手にあげる気持ちでこれから漫才やっていこ」って。ウケたときは相手のおかげ、ウケんかったら自分のせいって思ってやっていったらきっとコンビもうまくいくって言われて。これはコンビの話だけど夫婦も同じだなって。何かいいことがあったときは「この人のおかげやな」と感謝して、だめなときは相手を責めずに自分を顧みる。そうやっていったら仲良くできるんじゃないかと思ってます。

 -「世間一般の基準では」ということで思い出しました。さゆりさんがピンクのランドセルを背負った写真がインスタグラムに。

 あははは!かつみさんが誕生日プレゼントにくれたんです。わたしが何げなく「今の子どもはピンクのランドセルがあっていいね。昔は赤だけやったのに」って言ったら買ってきてくれました。

 -なるほど。ポンポンを作って応援に行ったり仲良しです。

 昔の道頓堀川ですからね、藻に絡まって上がってこおへんかったらどうしようと思って。テレビ業界では「かつみのイタイ嫁」で通ってます(笑)。

〈WHO’S WHO〉

 かつみ・さゆり 本名市田克彦、市田小百合。かつみは1963年2月27日生まれ。NSC大阪校2期生。和歌山県立箕島高校野球部時代に甲子園春夏連覇(ただし補欠)。さゆりは69年7月15日生まれ。88年吉本入社。かつみは漫才コンビ「どんきほ~て」として活動し99年解散後、00年4月に「かつみ・さゆり」結成。結婚は96年3月27日。今年は銀婚式。

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