モデルや女優として活躍する谷まりあ（２８）が、さらに躍進の夏を迎える。８月７日スタートのテレビ東京系・ドラマプレミア２３「やわ男とカタ子」（月曜、後１１・０６）では、親友としてヒロインを健気に支える“キラキラ女子”役に挑戦。多忙を極める中でも、それぞれの仕事を大切にしつつ「掛け算が楽しい」と充実一途の日々。その源にあったのは、「お父さんみたい」と信頼を寄せる芸能界の大先輩・出川哲朗（５９）の存在だった。

　モデル業をこなしながら、バラエティーのロケで海外に赴き、帰国すると出演ドラマの台本が待ち受ける。スイッチの切り替えが大変では？と尋ねると、穏やかな笑みが返ってきた。

　「お仕事が好きなんです。ジャンルによって得るものとか、表現の仕方が全然違うなって感じていて」

　異なる仕事の経験一つ一つが「掛け算」となって積み重なっていく日々。「どの仕事をしていても『見てくれた人を笑顔にしたい、元気にしたい』というのがあるので、まだまだ頑張らなきゃですけど、楽しみながらできています」と、疲れは全く感じさせない。

　今作「やわ男と－」では、松井玲奈（３２）が演じる自己肯定感ゼロのヒロイン・片桐藤子の恋を全力で支える、親友の加藤久美役に臨む。「こんな親友がいてくれたら毎日楽しいだろうなっていう人。すごい友達思いでまっすぐな。憧れの女性像です」と役柄を語り、「人と向き合うことを諦めない力強さがカッコいい。ポジティブな部分は似ているかも」と、自身との共通点を挙げた。

　自身も多方面にわたる芸能活動を、力強くポジティブに躍動しているように映るが、現在のメンタリティを形成する転機になったのは「予想外すぎた」という日本テレビ系バラエティー番組「世界の果てまでイッテＱ！」（日曜、後７・５８）の出演だったという。出川と体当たり企画に挑戦する美女軍団「出川ガール」の一員となり、一気に知名度を全国区に押し上げたが、出演当初は大きな戸惑いの中にいたことを告白した。

　「初のバラエティーが『イッテＱ！』だったんですね。海外ロケでマネジャーさんも一緒に行けない。もちろん台本もない。こうすればいいっていう正解もない。哲ちゃん（出川）を邪魔しないように、どうしたらいいんだろうとか、いっぱいいっぱいになってしまって」

　未知のバラエティーで初の海外ロケ、テレビで見ていた大先輩との共演。仲良しのマネジャーも隣にいない。当時、早稲田大学に通う現役女子大生でもあった谷にとって、プレッシャーは小さくなかった。

　「うまくいかなくて、味方がどこにもいないように感じてしまって。そのとき、出川さんが（収録中の）カメラを止めてくれて『格好つけなくていいし、できなくてもいい。いつものまりあちゃんでいいんだから。いつでも全部を受け入れるから』とおっしゃって」

　親子ほど年の離れた出川が不安や戸惑いを見透かしたように直球のアドバイスをぶつけてくれた。

　「モデルのときは完璧な自分を仕上げるのが仕事でした。それを崩してくれたのが、バラエティーだし、出川さんなんです」と信頼を寄せる。「海外だから、ずっと一緒にいて。ご飯のときもプライベートのときも。隣で見ていてくれた出川さんが一番の味方でいてくれたんだなって」

　子どもの頃から大笑いさせてくれていた「テレビの人」が、カメラを止めてまで見せてくれた本音に心が響いた。思い返す度に貴重な経験だったと身に染みている。

　「体験や感情が入ってくるのが演技かなと思うので、バラエティーやモデル業、プライベートも全てが『掛け算』になっていくんだろうなって。だから今後も全部の仕事や出会いを大事にしていきたいんです」

　格好つけなくていいし、できなくてもいい。心に刻んだ言葉をかみしめながら歩んでいく。

　◆谷まりあ（たに・まりあ）１９９５年７月２８日生まれ。東京都出身。早稲田大学在学中の２０１６年、ファッション誌「ＶｉＶｉ」の専属モデルに。同年に日本テレビ系バラエティー「世界の果てまでイッテＱ！」（日曜、後７・５８）に出演し脚光を浴びる。１８年、フジテレビ系ドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」で女優デビュー。インスタグラムのフォロワー数は３００万人以上。特技はバレーボールとキックボクシング。

　◆ドラマプレミア２３「やわ男とカタ子」（月曜、後１１：０６）　主演の三浦翔平（３５）が演じるイケメン弁護士・小柳睦夫と、松井玲奈が演じる「モテない」「サエない」「自信ない」のこじらせ喪女・片桐藤子の恋の行方を描く。谷は藤子の親友・加藤久美を演じる。

　実は“世話焼きオネエキャラ”の小柳が、藤子をモテ女に変身させるべくプロデュース計画を始動し…。コメディータッチに描きながらもアラサーのリアルな恋愛事情に踏み込んだ、共感必至の連続ドラマ。原作は漫画家・長田亜弓氏による同名コミック。