トランプ大統領になって唯一“よかった”こととは…

 「ニッポン愛&Sarah、s eye=第3回」

 昨秋の米大統領選で、私はひたすら泣いていました。日本で夜更けのニュースを追いながら、疲れて1度寝て起きたら、悪夢が現実になっていて…。私のような日本在住の米国人はどう立ち向かえばいいのか、何ができるのかと、今も悩んでいます。

 それ以来、知らない方に「どこの出身ですか」と聞かれると、1拍空けてから「カナダです」って答えるようになってますので(笑)。「アメリカ人です」と言った瞬間から、「トランプをどう思いますか?」って聞かれますから。もう半年くらいになりますね。

 メディアでは大統領選の直前までクリントンさん優位とされていましたが、現実は違った。投票者の半分はトランプさんに投票し、今でもその多くの人が胸を張って支持しているようです。トランプさんの「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」を心から信じているから。国際交流をあまり経験したことのない支持者が多いと思います。トップ(トランプ)が「移民が仕事を奪っている」と言えば、そのまま信じてしまう人が多いでしょう。国際的に多様な価値観のある人と接していないと分からないですからね。もちろんそれは投票した理由、今でも支持する理由の一部だけですが。

 唯一、いいところを無理矢理に引き出すとすると、トランプさんが大統領になったおかげで、今まで見えなかったというか、見て見ぬふりをしていた所が、はっきり見えてきたということですね。

 例えば米国で性差別問題や人種差別問題はもうないと思っている人がいたんですけど、トランプ支持者を見ると、まだ差別は残っていた。移民に対するヘイトスピーチも“私が知ってるアメリカ”じゃないと否定していたんですけど、それは信じたくなかっただけで、ずっとあったと、気づかされました。ヘイトスピーチは今も積極的に行われ、銃による暴力も増えています。

 トランプ政権は教育や芸術面の予算をカットし、既にダントツで世界一の軍事費をさらに増やしました。上に立つ者の行動によって、その下にいる人たちの動きも激しくなってきます。オバマ政権の2期目くらいからリベラルな方が緩くなっていたのか、その反動がきたんですね。この現実から逃げるのでなく、受け止めて積極的に動いていけるか。その意識付けができたということですね。

 ◆プロフィール サラ・マクドナルド(Sarah Macdonald)1990年8月12日、米マサチューセッツ州生まれ。14年にNHK連続テレビ小説「花子とアン」でデビュー。女優としてドラマ、舞台、バラエティー番組などで幅広く活躍中。

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