テレ東イズムの大原則は「『出演者ありき』で考えない」…他局の追随が一番恥ずかしい

 独特の番組編成で数多くの“伝説番組”を生み出しているテレビ東京。人員や予算規模が限られる中で、他局に伍して存在感を保ち続けられるのはなぜか。同局の大庭竹修編成部長がデイリースポーツの取材に応じ、局内に息づく“テレ東イズム”を明かした。

 大庭竹部長はまず「奇異なことをやっているとは、あまり思っていない」と回答。その上で、「根底に流れているのは、『15対15でラグビーをやったら勝てないな』というか…、会社の規模が違うので、他局さんと同じ競技をやったら勝てない。ただ、タイムテーブル自体は同じ土俵なので、お金をどれだけ持っていようが、同じ24時間の土俵には乗らないといけない。戦い方を変えるという意味で言うと、他局とは少し違うことをやっている印象があるかもしれないですね」と話した。

 自局が制作する番組については「一点突破型の番組は多いとは思うんですよ」と分析。「一番ダメなのは、他局でやっていることをやること。それが一番恥ずかしいと、制作も報道もみんな思っている。他局の追随をすることはやめようと」と、独自路線の重要性を強調した。

 そして、その独自路線には、決してぶれることのない1つの鉄則があった。大庭竹部長は「『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』もそうですし、「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』も『家、ついて行ってイイですか?』もそうですけど、わりと自由に企画を考えられる感じはありますよね」と、代表的な人気番組を列挙した。

 続けて「言ったら怒られるかもしれないですけど、『出演者ありきで考えない』というのが基本。例えば『お笑い第7世代で番組やったら面白いんじゃないか』という設定の企画は、基本的にうちでは通らない。『こういう企画ですけど、どうですか?ご興味ありますか?』という提案を出演者の方にしていく形で、『この人だから、この企画が合うよね』という順番の企画は、これまでもやってないし、これからも多分やらない」と言い切った。

 人気があるから起用する、ファンが多いタレントをとりあえずブッキングする-という方法は、テレビ東京ではNGなのだ。「当然、出演者の方の力をお借りして、番組は成立していくもんだとは重々思っているんですけど、根幹には企画が面白いというのがないと長続きしない」と大庭竹部長。だからこそ、低予算でも徐々に人気が火がつき、“伝説”になる番組が生まれるのだろう。

 他局とまったく違う番組編成は当然、リスクを伴う。だが大庭竹部長は「リスクはあまり取りたくはないんですけど、ある程度リスクテイクをしないと、大当たりは出ないなと思いますね」と意に介さず。「例えば『池の水』は、みんな反対してました。あれでヒット番組が生まれるなんて、誰も思わないでしょうから。リスクといえば、リスクなんですけどね」と笑った。

 加えて「ここからは私見なんですが」と前置きしつつ、「失敗が目立たない会社ではあるんですよね。他局さんで視聴率が悪いと、週刊誌とかネットとかで『大失敗』とか叩かれる。うちはそれがあまり出ないんで、そういう意味で言うと失敗が目立たないのでチャレンジはしやすいというところはある」と、自虐も交えながら説明した。とはいえ、その戦略は単なる弱者のメソッドではない。ある意味、メディアとしての“あるべき姿”を突き詰めたものだった。(デイリースポーツ・福島大輔)

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