エイトマンからコナンまで…88歳の人気作家、辻真先は今、『呪術廻戦』に夢中

昔懐かしい8マンのめんこ
現役バリバリの88歳、辻真先さん
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 作家・脚本家の辻真先さん(88)のツイッターをご存じだろうか。連日のようにマンガ、アニメ、ミステリー小説の感想を投稿している。1963年の『エイトマン』や最近では『名探偵コナン』の脚本を手がけ、昨年は『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』でミステリー3冠に輝いた。その好奇心の源を聞いた。

 辻さんは明るく穏やかに、ツイッターの狙いを語った。「一つは備忘録です。70年前のことは忘れないんですが、最近は5分前のことでも忘れてしまうものですから」と、自嘲気味に笑いつつ「もう一つは勉強です。スピーチを5分にまとめるのと同じ。140字に収めることは、文章の修行になるんですよ」と続けた。1本にかける時間は30分程。暖かい感想が大半だが、時には遠慮無く懸念をつぶやく。

 読書は仕事の合間に行い、気分が乗ればそのまま没頭。アニメは就寝前に1~2時間、飲酒がてら楽しむ。マンガは「本屋の立ち読みで鍛えましたから」と、20分で単行本を読み終える。ふきだしが少ない、あだち充作品なら10分ですか、と水を向けると「彼の作品は間が大事なので立ち止まるようにしています。アクションシーンは進めますが」と、たしなめられた。

 現在は『呪術廻戦』がお気に入り。「アニメはMAPPA(制作会社)ですから信頼できますね。マンガも読み直しました。忘れていた設定があり、勉強になりましたよ。作者の上達がよく分かりました」。一方で『チェンソーマン』を挙げ「絵が合わなくて連載開始すぐに、読むのをやめてしまいました。今になって、しまったと思うんですよ」と苦笑する。少女漫画にも「半年読まないと感覚が分からなくなる」と注意を向ける。

 アニメは異世界ものがマイブーム。「マンガと違い1本30分見ないといけない。つまらないと貴重な時間が…と落ち込みますね。逆に、期待してなかった作品に引き込まれることもあります」。失望と喜びの落差が、アニメ鑑賞の特徴と言えそうだ。

 辻さんは「やはり好きだからです。子どもの頃から続けてきたこと。どんどん楽になっていきますね」と原点を語った。戦中は学徒動員により兵器工場で働き、戦後は学制改革の直撃を受けた。「当時は本や映画が少ないでしょう。好きなものはすぐ読み尽くして、しょうがないから大人向けの雑誌や本、それこそ春本まで読みふけったものです。後になって本当に役立ちました」。旅行や鉄道のエッセイ、SFに特撮…ジャンルを超えた執筆活動を支えてきた。

 現在の状況に対する心配もある。「今は何でもありますから、好きな事をどこまでも追っていける。うらやましい反面、グルメになり過ぎているのかな、とも思いますね。もう少しいろいろな事に興味を持ってもいいのかな」。称賛や批判、好き嫌いが一方的で、相互理解されにくい時代の一因なのだろうか。

 最近は昭和36年を舞台とした新作ミステリーを執筆中。ドラマの脚本も進んでいる。そして、ツイッターへの投稿も快調だ。「山田風太郎に『あと千回の晩飯』という作品がありますよね。僕の場合は“あと千冊のマンガ”“あと千本のアニメ”ですかね」と笑った。(デイリースポーツ・山本鋼平)

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