出発点は東大留年、就活も失敗…女性YouTuber“もっちゃん”が見つけた進むべき道

“もっちゃん”として活動する山本愛生さん©やのぴょねす
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 映画紹介YouTubeチャンネル「もっちゃんねる」を配信する、“もっちゃん”こと山本愛生さん(25)をご存じだろうか。新作を中心に感想や解説を配信し、登録者数約6万900人、総視聴回数は約755万回。東大留年が契機となった歩みと、今後の夢を聞いた。

 穏やかな笑みが、充実している日々を物語る。「やりたいことを自分で決めながら、自由に時間を使えていることがうれしいです」。現在は自身の配信活動、映画に関するイベント出演や執筆活動、フリーランスとして他のYouTubeチャンネルの運営を手がける。「自分の活動が30%、他の仕事が30%、残りは本を読んだり勉強したり映画を観たり…まるで学生のようですね」と語った。

 転機は18年3月。2単位及ばず東大の留年が決定。テレビ局や大手広告代理店に絞った就職活動は失敗していた。「ただでは転ばない」と、興味があったYouTubeを開始。開始10日で登録1万人に達した。「留年を報告した第1回がバズったんです。登録者が一気に増えましたし、コラボで多くの方と知り合え、普段なら絶対やらないことに挑戦できました。自分の世界が広がりました」。受験、大学紹介、ミニドラマ、歌、グルメ、ファッション…無邪気なまでの楽しさが、動画に満ちていた。

 しかし、程なく葛藤に悩む。配信活動に専念するため、18年10月、勤務していたベンチャー企業を退職。翌春に東大を卒業すると、撮影と編集をひとりでこなす重圧、ネタの無節操さへの懐疑心から焦りが募った。「いつまでこの形で続けるんだろう。自分は何をしたいんだろう」。学生YouTuberにとって卒業は大きな転機で、撤退する者も珍しくはないという。

 友人に救われた。書評で知られる人気文学YouTuberベルさんを参考に19年3月、関心があった映画に特化。炎上が繰り返されるネット社会への懸念を抱えていただけに「映画で描かれるさまざまな世界を通して、自分以外の価値観に触れてほしい」と、活動に芯を通すだけでなく、意義も見出した。

 コロナ禍に見舞われた昨年、YouTuberへの過度な期待を捨てた。「芸人の方らプロがたくさん参入してきて、視聴時間の奪い合いになっています。有名YouTuberでも苦戦されている。自分には今の形が合っているのかな、と思います」。活動で得た技術と人脈を生かす現在の仕事を始め、収入面や精神面で余裕が出てきた。

 ネットの進化。娯楽の多様化。かける時間の短縮化。映画産業の将来は楽観視できない。それでも「ライト層の方々が、一本でも多く映画を観たいと思ってもらえる活動を続けたい」と前を向く。今後は同チャンネルのTikTok配信にも意欲的だ。

 一方で、新たなYouTubeチャンネルの立ち上げを目指している。「東京の街を歩いて歴史を紹介したいんです」。趣が変わりすぎではないか、と問うと「自分がやりたい、と思ったので。YouTubeは誰にとっても、やりたいと思った時、気軽に使っていいツールだと思うんです。学生はもちろん、仕事を持ちながらでも、自己表現の場になっていいと思います」と笑顔で返された。やりたいことをやる、なりたい自分になる-その原点は、これからも変わらない。(デイリースポーツ・山本鋼平)

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