トランプ氏が3月4日に大統領就任?拡散する「陰謀論」…ムー編集長「甘く見てはいけない」

前大統領時代に来日したトランプ氏(2019年6月撮影)
毎月9日発売の月刊「ムー」最新の3月号
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 トランプ前大統領が3月4日、新大統領に就任する!?そんな言説が「ディープ・ステート」(影の政府)と戦う救世主としてトランプ氏を信奉する陰謀論集団「Qアノン」によって拡散され、米大手メディアでも報じられた。「陰謀論」といえば、月刊「ムー」(ワン・パブリッシング発行)が取り上げてきたテーマの1つ。同誌の三上丈晴編集長に見解をうかがった。

 民主党の政治家、セレブらが小児性愛や人身売買の地下組織に関わり、トランプ氏がその勢力と戦っているなどと主張してきたQアノン。信奉者が共和党の下院議員に選出され、その言動が物議を醸すなど、看過できない存在になっている。

 今回の言説は「1871年に米国は国家から企業に変わったため、それ以降に就任した全ての大統領は正統ではなく、トランプ氏が3月4日に『第19代』の大統領に就任する」という内容。ならば、4年前に就任した「第45代」のトランプ大統領は非合法なのか?とツッコミたくもなる。

 三上編集長は当サイトの取材に対して「陰謀論が世界的に語れるようになりましたね。なにしろ、アメリカ大統領が国際金融資本を中心とするディープ・ステートを名指しし、ネットの世界でフェイクニュースを含めた陰謀動画や記事がアップされるようになった。陰謀論が台頭することで、既成の権力や組織に対する戦いが始まったような印象を受けますね」とトランプ政権からの経緯を示した。

 日本でも根拠が不確かな情報がSNSで流布される現実がある。

 三上氏は「日本の場合は、日米同盟で無関係ではないという理由で、陰謀論を喧伝するものの、結局、米国内の問題であるがゆえ、おそらく半年もすれば、関心が薄れるのではないか。もっとも、トランプが復権してくると、話は別だが。いずれにせよ、今回の陰謀論はスケールが小さく、歴史的な背景が希薄。つまりは、陰謀史観にまで昇華されていない」と見解を示した。

 そして、三上氏は「陰謀史観には、歴史および宗教的な背景がある。キリスト教では終末論があり、やがて世界を支配する独裁者が現れ、人類を滅亡の淵に追いやると預言されている。西洋史のベースには、これがある。よって、こうした視点から陰謀論も議論されるべき」と解説する。

 とはいえ、侮れない部分もある。同氏は「ネットとSNSの台頭によって個人が情報の発信をしやすくなった半面、情報に対する十分な分析がなされていない」と懸念。「陰謀論においては、全てが嘘ではない。必ず、そこにケシ粒のような事実が含まれている。これが拡大解釈されて広まる。大衆心理を知っている者からすれば、情報操作に使える。わざとフェイクニュースを流し、それに飛び付いた敵対勢力にダメージを与えることもできる」と指摘した。

 また、三上氏は「今回の米大統領選では、実際にこうしたことが行われ、カオス状態になった可能性もある。単純に洗脳という言葉で片付けられない。そうした意味で、陰謀論を甘く見てはいけない」とも強調する。

 では、Qアノンとは何か?その狙いは?

 三上氏は「ムーではUFOを扱います。UFOは軍事問題です。得体の知れない飛行物体の出現とは、同時に領空侵犯の可能性がある。安全保障上の大問題であるがゆえ、取り扱いは慎重になされ、かつ情報操作される。特に当局がリークした情報には、まず偽情報が含まれる。後に、最初の情報全てが虚構との評価になり、世間の良識ある人たちは何も信用しなくなる。これが当局の狙いだとすれば、今回のQアノンも、構図は全く同じである」と分析した。

 今後、「ムー」で取り上げる機会は?

 三上氏は「ムー読者は陰謀論には冷静な目を持っているといっていい。近いうちに、そうした読者に提供できるQアノンやディープ・ステートの総力特集を組む予定です。乞うご期待」と予告した。(デイリースポーツ・北村泰介)

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