子どもが転倒時に水筒で腹部を強打して臓器損傷…事故防止対策で「通園用リュック」開発、コロナ禍で使用増

 子どもが転倒した際、首や肩から提げていた「水筒」で腹部などを強打して臓器を損傷する事故が相次ぎ、近年、社会問題となっている。事故防止のため、幼稚園や保育園で「水筒の斜めがけ禁止」の呼びかけが広まっていることを受け、水筒を入れても重さの負担が少ない通園用リュックが2月に発売された。実際に起きた事故の例と共に、対策商品を開発したメーカー担当者に話を聞いた。

 消費者庁は2023 年に公式サイトで 「子ども水筒を持ち歩く時の転倒事故」に関して情報を発信して注意喚起。具体例を以下のように列挙した。

 「水筒(1リットルの容器)を斜め掛けにして歩いていたところ坂道で転倒し、地面と 水筒に挟まれる形で腹部を強打した。脾損傷のため集中治療室に入院し、保存加療 で 10 日後に退院した。」(9 歳)

 「通学中に友人と追いかけっこをしていたところ転倒し、斜め掛けしていた水筒が腹部の右側に当たった。痛みと嘔吐があり救急搬送され、小腸破裂、汎発性腹膜炎 のため緊急手術の上、集中治療室に入院した」(10 歳)

 「登校中、走っていたところ硬い土の場所でつまずいて転倒した。その際、首から 提げていた水筒が、地面とお腹の間に挟まり、腹部を強打した。内臓損傷により、膵臓 50%程度及び脾臓を摘出した。」(7 歳)

 以上は一部の例だが、こうした事態に至る要因として、園児や小学低学年児童には「反射的に手をつく動作が取りにくい」という傾向があり、この年代の特徴として、同庁は「腹部臓器の占める割合が大きい、お腹周りの筋肉が弱い等の理由から、腹部に外から力が加わった場合に内臓損傷が起こりやすい」と説明。対策の一つとして、水筒を背中に背負うリュックなどの中に収納することを挙げた。

 この「リュック対策」として、創業80年の学校用品メーカー「フットマーク」(東京)が通園用リュック「えんりゅっく」を開発し、今年2月に発売された。

 身長約90センチから120センチまでを想定した園児の体型にフィットする「3D肩ベルト」で安定感と体への負担軽減を測り、肩ベルトの内側と背中側にはメッシュ素材を使用することで汗をかきやすい季節でも蒸れにくく、快適に背負える仕様を心がけたという。さらに開口部に「がま口仕様のファスナー」を付け、水筒を入れて荷物が増えても園児が1人でスムーズに出し入れできる設計を実現。価格は4400円(税込小売希望価格)で、同社のオンラインショップや学校指定小売店などで販売されている。

 同社は「事故防止の観点から、水筒をリュックに入れて通園するよう指導する幼稚園や保育園が増えていますが、その結果、保護者からは『既存のリュックでは水筒が入らない』『荷物がいっぱいで子どもが自分で取り出せない』といった困りごとが寄せられていました。荷物の増加により、子ども自身での出し入れが困難になっている現状があります。こうした背景を受け『子どもがより安心・安全に、そして自分で扱いやすい通園用リュック』を目指し、開発に着手しました」と経緯を説明。「荷物の出し入れのしやすさ」に加えて「背負い心地」にもこだわり、園児の体型や動きに配慮したという。

 開発担当者は利用者の反応について「採用していただいた幼稚園からは『開口部が開きやすく、現行カバンよりも荷物の出し入れがしやすそう』という声をいただいています」と明かした。

 ただ、子どもが水筒をたすき掛けにするスタイルは近年に限ったことではない。昭和の頃にもよく見かけた光景として記憶されている。それでも、「転倒して内臓を痛める」といった事象がここ数年、顕著になった要因はどのあたりにあるのだろうか。

 担当者は「コロナ禍以降、学校に設置した給水機で飲水することが禁止となり、各自で水筒を持参するようになったことは事故原因の一つだと思われます」と説明。近年の「水筒事故」増加の要因の一つとして、社会的背景がある可能性を指摘した。

 また、担当者は「小学校での事案と同様の状況が保育園や幼稚園でも起きているのではないかと推測されます」と付け加え、「『えんりゅっく』に限らず、今後も幼稚園・保育園用のリュックに対してどのような不満や改良点があるのか、ヒアリングしていきたいです」と意欲を示した。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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