花粉症をオンライン診療してみた その結末は?
今シーズン、例年以上に花粉症に悩まされた兵庫県に住む大学1回生のT君。ようやく花粉の飛散も落ち着き、鼻水や目のかゆみも収まってきた。だがオンラインでの耳鼻科受診を思い出すと、モヤモヤしてしまう。
「オンライン診療で花粉症の薬、処方してもらえるんかな?」
受験を間近に控えた2月、T君は思い立った。
鼻は詰まるし、鼻水は出るし、目はかゆいし、とにかく辛い。薬は欲しいけど、病院に行く時間はない。オンライン診療なら自分の都合に合わせて予約できる。早速、深夜にアプリをインストールした。
まずはオンライン診療可能な近所の耳鼻科を決め、クレジットカードの番号、保険証、本人確認の写真をアップ。さらに備考欄に「薬の処方が可能なら受診したい」と記載した。別途料金は発生するが、自宅の最寄り薬局を登録すると処方薬を準備してくれる。希望日時で、しかも待ち時間なくスムーズに受診出来るのはうれしい。
当日の朝、T君はアプリを開いて待っていた。予約時間を10分過ぎたころ、病院から着信。病院側の接続不具合で電話診療となった。診察代はカード決済、近所の薬局で処方薬を受け取り、これは便利!とT君は時代に感謝した。
その後、薬がなくなり、再度オンライン診療を予約した。だが2度目の診察も「チャット画面の不具合で」と着信。前回とは別の医師は、症状を聞くことなく「状態を見ないことには薬が処方できないので来院して欲しい」と“診察”は終了した。診察代は前回同様、カード決済。領収書の画像は不鮮明だった。
「『薬の処方が可能なら受診したい』と書いたのに、処方箋を出してもらわれへん。診察代を支払う意味が分からん。来院を促すメールだけでええ話やん」とT君はつぶやいた。
オンライン診療が解禁されたのは2018年4月。普及が進まないのは、ITリテラシーや通信環境の問題、画面越しでの病状チェックや診断が不安という双方の思いがある。更にはシステム導入の費用がかかる割には、対面に比べオンラインの診療報酬が低いことや、医療スタッフの負担といった課題も山積している。T君も医師による対応の違いを実感。便利なシステムだけに、次回予約を悩んでいる。
(デイリースポーツ特約・市来 島姫)
