「いい仕事」「我が家の庭にも」 草刈りいらず!多摩動物公園の庭師はガン
「きれいに無くなってる」「我が家の庭にもぜひ来てください」
多摩動物公園の公式SNS(@TamaZooPark)に寄せられたこのコメント。注目を集めているのは、水鳥池に暮らすガンたちの“お仕事ぶり”です。
ガンは草食性の水鳥で、夏になると鳥インフルエンザ対策で冬季に過ごしていた隔離施設から水鳥池へと移動します。そこではまるで“羽のある庭師”のように、カラスノエンドウなどの雑草をむしゃむしゃ。移動してきたガンたちが、水鳥池の草をおいしそうに食べてくれるため、他の展示場で必要な草刈りをほとんどしないそうです。
飼育担当者によると、前任者から『ガンが食べてくれるので草刈りはしなくて大丈夫』と引き継ぎを受けたとのこと。
-どんな性格の鳥なのでしょうか?
「同じ仲間でも種によって違います。気が強いものもいれば、比較的おとなしい種もいます。混合飼育をしていると種の羽数比やペアかどうかでも力関係が変わるので、見ていて興味深い動物です。」
-草を食べる様子に特徴はありますか?
「葉を食べるので茎だけになった草がどんどんできていきます。種によって食べ具合も変わり、シジュウカラガンは何でもよく食べます。サカツラガンはあまり食べず踏むほうが多いです。」
-季節や草の種類によって食べ方に違いはありますか?
「イネ科が好きなようです。同じ草でも成長して葉が固くなったものよりは、若い柔らかいものを好んでいます。ツル植物や匂いが強いものなどはあまり食べません。」
飼育面でもメリットは多く、「繊維質が豊富なので便の状態が良くなる」とのこと。さらに、自分でちぎって食べる行動は野生に近く、エンリッチメント(飼育動物の暮らしを豊かにする工夫)の一環にもなっているそうです。
水辺で生活する種であるため、水草を食べる様子も見られます。10月下旬になると鳥インフルエンザ対策で再び隔離施設に戻る予定ですが、それまでは“草刈り部隊”として活躍中です。実際、「隔離施設へ移動した当日」および「約1か月後」の比較写真を見ると、ガンたちの食べっぷりがよくわかります。
多摩動物公園の公式SNSには、「いい仕事してますね」「美味しく食べて綺麗になってスタッフさんも助かって良い事ばかりですね」などの声も。動物園の美しさは、飼育員さんだけでなく、こうした鳥たちの“働き”にも支えられているようです。
(デイリースポーツ特約・緑川あいり)
