生理痛、PMS、更年期障害…女性のためだけの言葉じゃない「フェムテック」 パートナーに理解してもらうには
「大げさ」「気の持ちよう」-生理痛やPMS(月経前症候群)をはじめとした身体の不調に苦しんでいるとき、こんな心無い言葉をかけられたことがある人もいるのではないだろうか。株式会社MONA companyの調査によると、実に男性の8割近くが月経、妊娠、更年期など女性特有の健康課題を解決する製品やサービス全般を指す「フェムテック」という言葉を全く知らないという結果も出ており、女性の身体の不調に対する理解が深まっているとは言いづらいのが現状だ。
では、どうすれば理解不足によるすれ違いが避けられるのか。東京で美容サロンを経営する株式会社move代表取締役・植田千尋氏にお話を伺った。
-植田さんが経営する美容サロンのお客様にも、身体の不調を理解されず悩む方がいると感じますか。
「生理前のイライラを気持ちの問題として片付けられたり、妊娠中のつわりや体調変化を大げさだと流されるなど、女性ならではの身体の不調について悩む声を多く聞きます」
これら以外にも、「妊娠は病気じゃないから普通に動ける」「昔はみんな我慢していた」と心無い言葉に傷ついたという声を多く聞くという。では、なぜ男性側の認知が広がっていかないのか。尋ねたところ、同氏は「心理的・社会的な壁が存在している」と指摘した。
「自分の身体で同じことが経験できないため、男性はどうしても当事者意識が欠如しがちになります。女性の身体について学ぶ機会が少ないという教育上の課題もあります」
-パートナーのフェムテックへの関心を高めるには。
「効果的なのは、女性側から身体の不調を冷静に伝えることです。感情的になるのではなく、事実ベースで状況を説明することで、男性も『理解したい』という気持ちになりやすくなります」
-男性側は、パートナーの体調不良にどのようにアプローチすべきだと思いますか?
「無理にスマートに対応しようとしなくても大丈夫です。大切なのは『できる範囲のサポート』。症状を根掘り葉掘り聞いたりするよりも、家事を代わりにする、ゆっくり休めるような配慮や姿勢を見せる、日々の感謝がお互いに伝わる時間をつくるなどの具体的な行動が喜ばれます」
体調不良時の余計な詮索や過度の否定は、人によってですが、関係性を悪化させてしまうことも。女性の体調は日々変動するという心構えを持っておくことで、急な体調不良にも落ち着いて対処できるようになるとのことだ。
「フェムテック商品は日々進化しており、従来『我慢するしかない』とされ続けていた女性の身体の悩みの多くを、科学的アプローチで解決する画期的な商品が多数登場しています」と同氏は語る。パートナー・家族間の直接のコミュニケーションが重要であることは間違いないが、フェムテック商品が身近になることも、男性が女性の体調不良について理解を深める新たなキッカケになりそうだ。
(デイリースポーツ特約・桐田えこ)
