味噌汁は沸騰NGなのに名古屋名物「味噌煮込みうどん」はナゼ美味い!?理由は味噌の違いにあった!

味噌煮込み湯葉
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 「味噌汁は味噌を入れた後に煮立ててはダメ」--家庭科の授業でこう習った方は多いのではないだろうか。実はこの家庭料理の鉄則は、必ずしも正しいとは限らないことがわかった。「味噌の種類によっては少し煮立てるぐらいの方が美味しい」と教えてくれたのは、合同会社八丁味噌(カクキュー)企画課の野村健治氏だ。

 --味噌汁を作る際、味噌を煮立てる(沸騰させる)のはNGなのでしょうか。

 「味噌の発酵・熟成中に生まれる香り成分は加熱により揮発しやすく、煮立て過ぎると風味が飛んでしまいます。米味噌や麦味噌を使った味噌汁は、香りが最も立つ『にえばな(鍋に水やだし汁等を入れて火にかけ、ぐらっと煮え始めた状態)』で火を止めることで美味しくお召し上がりいただけます」

 一般的な米味噌や麦味噌を使用するのであれば、やはり「味噌は煮立てない」が味噌汁の鉄則のようだ。しかし、この鉄則が当てはまらない味噌がある。それが、愛知県でお馴染みの八丁味噌に代表される豆味噌である。

 「豆味噌は、タンパク質が分解されたことで生まれる旨味が主体の味噌で、煮込んでも風味が飛びにくいという特徴があります」

 野村氏の話によると、豆味噌の香り成分の蒸発温度は米味噌や麦味噌より高い傾向があるとのこと。一方の米味噌や麦味噌の場合、含まれる香り成分に蒸発温度の低いものが多く、煮立たせることで味噌の美味しさと香りの相乗効果が減少しやすい。その結果、煮立てることで風味が落ちてしまうのだ。

 寒い季節にぴったりの定番名古屋グルメに「味噌煮込みうどん」がある。豆味噌をベースにした出汁が土鍋の中でぐつぐつと煮立つ、愛知を代表する郷土料理だ。この料理こそ、従来の「味噌汁は煮立てない」という鉄則をくつがえす、豆味噌の特性を最大限に活かした料理なのである。

 もちろん、豆味噌を使用した味噌汁にも同じことが言える。

 「弊社の味噌で味噌汁を作る際も、火を止めて味噌を溶くよりも、少し煮立たせた方が味噌汁がまろやかになり、味のまとまりが出る印象です」

 今回の取材により、味噌の種類によって、調理における「正解」が大きく変わることがわかった。温かい料理が恋しくなってきた今日この頃。愛知に旅行に訪れる計画がある方は、ぜひ豆味噌だからこそ美味しく楽しめるアツアツのソウルフードをご賞味いただきたい。

(デイリースポーツ特約・桐田えこ)

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