ケイバ熱盛ブログ「おめでとう、黒岩J」(8月3日)

 お立ち台のインタビューに胸が熱くなりました。栗東・井上です。先週の新潟ジャンプSを制したホッコーメヴィウス。エスコートした黒岩Jはデビュー21年目で待望の重賞初Vですから。とにかく、うれしい。そのひと言に尽きます。

 重賞レース56回目(平地2回、障害54回)のチャレンジで勝利を手にしました。「馬の行くままに、邪魔をしないように。自分の型にハマると力を出してくれるので。馬が頑張ってくれました」。レコード勝ちの相棒をたたえた黒岩Jは「ようやくですね。重賞を勝てる能力がある馬。これまで勝たせられなかったのは僕のせいなので」とホッとした表情を見せました。

 苦労も多かったと思います。デビュー3年目に骨盤を骨折し、復帰してすぐに鎖骨を骨折。順風満帆な騎手生活ではありませんでした。「いつ辞めようかと思っていました。でも、悔しい思いもあったんですよね。ケガをしたのは僕の問題で、結果が出なかったのも自分の努力不足。だから、へばりついてやってきた。乗れない時期が長いほど、1頭の依頼の重みを感じました。こんな僕がチャンスを与えてもらえて。感謝しかないです」。苦しみを乗り越え、ようやく味わうことのできた重賞Vでした。

 重賞初制覇にふさわしいというべきでしょう。メヴィウスを管理するのは清水久師。キタサンブラックの調教を任されていたのが黒岩Jでした。偉業を支えた仕上げ人として、17年有馬記念優勝の直後に行われた引退式に出席し、祝勝パーティーでは北島三郎オーナーが「黒岩くんのおかげ」と感謝したほどです。

 「感慨深いですね。縁というか…。恩返しができて良かったです」。日々、キタサンブラックと向き合うことで教えられたことも多いそうです。「いい背中を知ることができた。どの分野でもそうですが、いい物を知っているというのは何よりも貴重だと思うんです」。

 今や、キタサンブラックは種牡馬としてブレイク。皐月賞、ダービーでともに2着のイクイノックスなど、初年度産駒から活躍馬が出ました。「まだ若いお父さんなので、あと1、2年したらキタサンブラックの障害馬に乗れますかね。キタサンブラックが障害を走っていたら無双だったと思いますよ。折り合うし、スタミナがあるし、長く脚も使うし。産駒に障害で乗るのが楽しみ」。夢はまだまだ続きます。

 ホッコーメヴィウスの次戦は東京ハイジャンプ(10月16日・東京)を予定しています。今後の目標を聞くと「メヴィウスはもちろん、他の馬でも結果を出したい。頼みたいと思われるジョッキーになりたい」と語ってくれました。

 レースに乗らないジョッキーにコメントを求めるのは心苦しい瞬間でもあります。でも、キタサンブラックの調教を終えた黒岩Jは一度も嫌な顔をせずに取材に応じてくれました。記者としては恩を感じていました。恩返し-。そんなたいそうなものではなくても、このブログで黒岩Jの人柄が伝わり、応援するファンが増えればと思います。

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