【野球】巨人・原監督が繰り出した数々の奇策「深いんだよな、野球は」

 ここ一番で繰り出す勝負手。あっと驚く奇策は、スポーツの醍醐味のひとつだろう。

 「深いんだよな、野球ってのは」。

 以前、奇策に関する話をしていた時、巨人・原辰徳監督はニヤッと笑っていた。「奇策は弱者の戦法」は名将・野村克也氏の言葉だが、通算1024勝の原監督も数々の奇策を繰り出している。

 02年6月19日の横浜戦(現DeNA)で、十一回に決めた代打・桑田のバスター。失敗に終わったものの、14年7月11日の阪神戦では大胆な内野5人シフトを敷いた。

 記憶に新しい、昨年8月25日のDeNA戦。十一回に投手田口の打席で相手バッテリーの裏をかき、二盗に成功。代打石川のサヨナラ弾に結びつけた采配は、原監督の勝負師としての存在感を際立たせた。

 記者が巨人担当をしていた15年シーズンでも、奇策を繰り出した。

 9月10日の阪神-巨人(甲子園)。巨人1点リードの九回裏、2死一、三塁。打者・鳥谷を迎えて一打逆転サヨナラ負けのピンチで、原監督は外野手に定位置より前の守備位置を敷かせた。

 このケース、逆転サヨナラ負けを防ぐために、外野手は長打警戒で深めの守備位置を取るのがセオリー。結果的に外野に打球が飛ばず勝利したが、原監督の考えはこうだった。

 「敵地だし、同点にされたら、一気に流れが向こうにいく。だから、打ち取った打球は取ってほしかった。ポテンは嫌だった。カーンと後ろを抜かれたら、それは仕方ない」。

 試合の展開や流れを読み、時にセオリーを無視した作戦を選択する。父・貢氏に学び、覚悟を持って決断を下す。失敗を恐れない攻めの采配こそ、原監督の強みだろう。

 「時間はみんなに平等にある」と話す原監督。「ステイホーム」の期間もさまざまな思考を巡らせ、戦術を練っていることだろう。今季も必ず繰り出すであろう奇策を楽しみに、開幕を待ちたい。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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