【スポーツ】知ってます?スノーバレー 冬季五輪正式種目へ、ビーチ選手の田中姿子も尽力

昨年スノーバレーワールドツアーザルツブルク大会に参戦した日本チーム。左が田中姿子(C)FIVB
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 室内のバレーボール、砂浜でのビーチに続いて、今度は雪の上!国際バレーボール連盟(FIVB)が普及を進める種目・スノーバレーボールは、26年冬季五輪で正式種目入りを目指す新種目だ。日本バレーボール協会では新設されたスノーバレー担当に、現役ビーチバレー選手でもある田中姿子(44)が着任。「まずは土台作り」と国内での競技普及を目指す。

 辞令が出たのは4月1日。コロナ禍にあり、田中は「いきなり在宅勤務になってしまって。契約の時だけ協会に行きました」と苦笑いする。

 埼玉県川越市出身。9歳でバレーを始め、日立、NECでプレー。01、02年には日本代表に選出された。04年にビーチに転向し、06年ドーハ・アジア大会では銀メダルを獲得。国内では浅尾美和の前に、天敵として立ちはだかる存在だった。ビーチに籍を残し、スノーバレーには昨年挑戦。第1回のワールドツアーを転戦し全3試合に出場した第一人者でもある。

 「バレーボールはいろんな分野でできるのが魅力。6人制もやっていたけど、また砂になっておもしろさが違って、雪になったら砂とは違うおもしろさがあった。自分の生活の一部にバレーがある」とその魅力を語る。

 スノーバレーは09年に初の競技大会が行われた。18年平昌冬季五輪ではエキシビションも開催。19年には初のワールドツアーが行われた。(20年はコロナ禍で中止)。試合は3人制でコートの大きさ、ネットの高さはビーチと同じ。ウエアは「もじもじ君みたいなやつ」(田中)を着用。40センチ以上の積雪で開催できる。風や転向に左右され、ふわふわの雪もあればシャーベット状の時もある。自然の中でプレーするのがスノーバレーだ。

 日本ではほぼ知られていない競技で、競技人口も少なく、専用のコートもなければ、日本語のルールブックすらない。「今は土台作りが大事」。普及活動に始まって、メーカーへのウエア作製依頼、スポンサー探し、英語のルールブックの翻訳-と手探りでスタートしている。

 競技者育成、強化へ、「東北、北海道の人たちと連携できれば。イベントとして点々とやっているところを線でつないでツアーみたいにできれば。札幌がオリンピックを招致しているので、そこでも面白いことできたらなと思っています」と構想を巡らせている。

 一般への普及のプランもある。「新規でやってくれるような自治体があったり、例えばスキー場にネットがあって、遊びみたいな感じでできれば。海にビーチのコートがあるように」。「北海道の人って雪の上でサッカーするという。じゃあ体育の授業でスノーバレーをしてもらうのは可能かどうか。そこを開拓できれば中学生や高校生の人が2030年でちょうどいい年齢になる」-。

 五輪正式種目入りすれば、屋外では冬季初の球技種目となる。「インドアの選手もビーチの選手にも幅が広がるから面白い」。特に冬はシーズンオフに当たるビーチバレーとの掛け持ちも可能。夏冬五輪出場の可能性も膨らむ。

 田中にとってインドアでもビーチでも、届かなかった五輪を「憧れ」と言う。「選手として出るのがいちばん」と裏方を務めながら、ベテランは夢を追い続ける。「自分が初めてスノーバレーのワールドツアーに出たことがオリンピックにつながるかも知れないと思うと、すごく魅力的ですね」。そう話して目を輝かせていた。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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