【野球】広島 新打線機能のカギは1番・長野 経験&実績はチーム1
昨年4月30日、当時阪神担当だった記者は「平成最後の一戦」となった阪神-広島を取材するため、甲子園にいた。試合後、七回に2点適時二塁打を放った福留の囲み取材に入ったが、そこでの本人の言葉が、妙に耳に残っている。
「広島相手には、何点あってもいいと思うし」。赤ヘル打線相手に、油断はできないという趣旨だったと記憶している。
最下位ながら、24日現在で広島は今季、12球団で唯一完封負けがない。拙攻や残塁が目立つ試合もあるが、総じて見れば、負けても攻撃陣が一矢報いているということになる。
そんな打線の中で、焦点を当てたいのが1番打者。開幕戦から7月15日の巨人戦までは1番はピレラだった。16日からは左の西川がリードオフマンとして打線をけん引。8月6日のヤクルト戦では西川がスタメンを外れたため、ピレラが1番。だが、7日の阪神戦からは12試合連続で西川が1番を打った。
チームは54試合を消化した。そのうち1番打者の内訳はピレラが21試合、西川が30試合、そして残る3試合がベテラン・長野。21日の巨人戦で今季初めて1番に入ると、初回の打席で四球。その後、打線がつながってチームは5得点。初回に5点を奪ったのは今季初だった。
21日からの巨人3連戦で長野は8打数無安打だったが、4四球。快音を響かせることができなくても、役割を果たした。
興味深いのは、長野の打順別試合数だ。プロ11年間、23日までの試合を含めて先発出場は1191試合。そのうち最も多い430試合を「1番」で出場している。次いで多いのが「6番」の203試合、そして「3番」で163試合。百戦錬磨の背番号5にとって、1番は最も板に付いている場所なのかもしれない。
昨年末、朝山打撃コーチが掲げた1番打者の理想は「勇気をもたらしてくれる」打者。ピレラには、常にフルスイングでの一発長打があり、西川にはチームトップの安打数(24日時点で67本)と、それぞれ持ち味がある。 安打での出塁は当然、四球を選べ、仮に凡退しても粘って相手投手に球数を投げさせることが、1番打者の重要な任務。経験と実績を踏まえても、それらを打席で遂行できるのが長野の魅力ではないだろうか。
チームは巨人に同一カード3連勝を飾り、25日からは敵地・横浜に乗り込む。投手陣の奮起はもちろんだが、新たな斬り込み隊長として百戦錬磨のベテランが打線全体に活気をもたらせば、連勝は伸びていくはずだ。(デイリースポーツ・向 亮祐)
長野の先発打順別試合数は、以下の通り。
1番=430試合
2番=11試合
3番=163試合
4番=81試合
5番=128試合
6番=203試合
7番=138試合
8番=30試合
9番=7試合
先発=1191試合
途中=131試合
計 =1322試合