【野球】高校野球の丸刈りに新たな潮流 細田学園の場合は“最後の夏”前に

 高校野球の歴史は100年を超え、球児の髪形も次第に自由化の動きが広まっている。09年春のセンバツで準優勝を果たした花巻東といった強豪校も脱・丸刈りを採用。今夏の甲子園交流試合に出場した国士舘は昨秋の東京大会を制すと、髪を伸ばすことがOKとなった。

 道具の性能やトレーニング方法が進化したように、高校球界で“伝統”となっていたしきたりも時代の移ろいによって変化してきている。高校球児のさわやかさを象徴する一方で、好きなヘアスタイルでいられないことは思春期の高校生にとってやや受け入れがたい部分。スポーツの多様化が進む中では野球離れの一因にも挙げられるほどだ。

 今秋の埼玉大会で花咲徳栄を破って話題を集めた細田学園は、また違った髪形への“ルール”を持っている。1999年4月から共学化され、2014年4月に創部。当初から指揮を執る丸山桂之介監督は丸刈りを絶対とはしなかった。

 初年度は2年生1人と1年生10人でスタート。「ボウズにしてこいって言ったら、みんなやめそうなんですよ(笑)。だから、こっちもそれを言えずに」と振り返る。これまで髪形の縛りはなし。7年目を迎えたいまも、グラウンドにはおのおのが好きな髪の長さで汗を流している。

 ただ、公式戦を目前に控えると雰囲気はガラッと変わる。「(部員が)自分たちで大会前にボウズにしてきたんです。毎年それが続いていたんですよね。オフシーズンは(髪を)伸ばしていいし、大会のときはボウズだったらそれでもいいよなと思って」と指揮官。3年生にとって最後の戦いとなる夏の大会だと、全員がきれいに頭を丸めて臨むという。

 「生徒は生徒なりに考えていたんでしょうね。いいスイッチですよね。けっこう上手にスイッチを替えていますからね」と、公立校で30年以上の指導歴を誇る丸山監督も現代っ子の切り替えのうまさに目を細めた。

 普段は自由となる中でも、節目には気持ちを一つにするため髪形を丸刈りにそろえる。“強制”から脱却し、むしろ髪形を一種のモチベーションアップの手段として利用。伝統を大事にしつつ、新たな潮流を受け入れる“ハイブリッド”な考え方は面白いと感じた。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス