【野球】広島・岡田モデルチェンジで再起へ「全く別の人になろうとしてます」
広島の岡田明丈投手(27)が投球フォームのモデルチェンジに再起を図っている。始動からリリースまでを流動的にすることで、無駄な動きをなくし制球力の安定を図ることが狙いだ。新たな投げ方で2年ぶりの1軍マウンドを目指す。
明るい表情から確かな手応えが伝わってくる。球威を維持しながら、課題の制球力向上がテーマ。岡田は試行錯誤の末にたどり着いた投げ方を説明した。
「全く別の人になろうとしています。見た人は別の岡田がいると思うはずです。動きの全てを流動的にして、力のロスをなくしながらリリースにつなげる投げ方です」
セットポジションからの始動は同じ。これまでと異なるのは、そこからだ。一度、左足を一塁方向に引き、足を上げる。あとは流れるような動きで球を放っている。
これまでは足を上げたときにいったん、ためをつくった。下半身に力を蓄えリリースで一気に爆発させるためだ。ただ、制球が定まらなかった。直球が3球連続でワンバウンドしたこともあった。
「今年のキャンプの前に自分で考えました。やりたいことができている。コントロールもある程度、思ったところに投げられるようになってきた」。5月4日のソフトバンク戦(筑後)では負け投手にはなったが、7回2失点。好不調の波はあるものの、先発として登板を重ね、直球のスピードも140キロ台後半まで戻ってきた。
17年に12勝したものの、その後、成績は下降線をたどる。19年はわずか3試合の登板。剛球を買われて中継ぎに転向した昨季は、迷路から抜け出せず入団5年目で初めて1軍登板なしに終わった。
「家族が支えてくれているし、頑張らないといけない」。19年11月に結婚し、守るべき人ができたことで「下を向いている時間はもったいない」と思うようになった。もう一つの原動力は「野球が好き」という気持ち。考えて実行に移し、成功や反省を次の投球につなげていく。その繰り返しが「楽しい」という。投球フォームももう一度、原点に立ち戻り、作り直している。
プロは弱肉強食の世界。結果を出した者しか生き残れない。時間に猶予がないことは岡田も強く自覚する。「1軍で投げて抑えないと意味がない。チャンスを勝ち取れるような投球をしていきたい」。自らの道を信じて前へ進んでいく。(デイリースポーツ・市尻達拡)