【野球】智弁和歌山・高嶋 祖父・仁氏との約束「勉強せなあかん」守り両立、甲子園で一発

 祖父譲りのきりりとした目を輝かせ、ダイヤモンドを一周した。智弁和歌山・高嶋仁名誉監督(75)の孫・奨哉内野手(3年)が26日、全国高校野球選手権準々決勝・石見智翠館戦で二回に大会30号本塁打を放った。

 これまで自己通算は「6本くらい」とホームラン打者のタイプではないが、大舞台で打てたのは、監督として甲子園最多68勝の祖父から受け継いだDNAだろうか。

 数年前、高嶋氏に家族の話を聞いた。監督時代は厳しい指導と勝負所を逃さぬさい配で知られた名将が、その時は終始、表情を崩していた。「孫たちは、うまいこと言うてくるんよ。『グローブがきつく(小さく)なってきたんやけど?』とか『今度、バットがいるん(必要)やけど?』とか。そしたら買うてやらなあかんわな」。メロメロのおじいちゃんである。

 長男・茂雄さんとは監督と選手の関係で91、92年夏の甲子園に出場。当時について「息子という意識はなかった。自宅から学校へ行くのも、オレは車で行くけど息子を乗せて一緒に行ったことはなかったし、家でも自然と、あまり話さなくなった。野球の話もしなかった」と、親子で監督と選手の立場になることの厳しさを身をもって示した。

 4人いる孫たちについて、何より誇らしげだったのはみな勉強熱心で学業優秀ということだ。奨哉についても「『智弁和歌山へ来たい』と言うから、『それなら勉強せんとあかんで』と返したら、すごく勉強してる」と目尻を下げた。野球だけでなく学業や人間性を重視する指導者だった高嶋氏らしい視点だ。

 「あの高嶋前監督の-」と注目され、厳しい道のりが待っていることを分かって、智弁和歌山のユニホームにそでを通した奨哉。この日の一発に「いいスイングができた。(祖父に)ホームラン打ったよと報告したい」と声を弾ませた。スタンドで見届けた高嶋氏は大喜びしながらも「天狗になったらあかんから」と88点の採点。3世代連続出場を果たした今大会、プレッシャーを事もなげに活躍のパワーに変えている。(デイリースポーツ・中野裕美子)

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