【野球】大谷と藤浪の運命を分けたのは?かつてのライバルを大きく隔てた原因を探る

 阪神の藤浪晋太郎投手が伸び悩んでいる。このまま終わってしまうのか、再び浮上するのか。高校時代に競い合った大谷は大リーグで活躍。その差はますます開くばかりだ。

 入団3年目の2015年に14勝したときは、まさかそれがピークになるとは想像もしなかった。

 ピークと決めつけるわけにはいかないが、まるで潜水艦のように深く沈んだまま、もがき続けている。

 160キロの剛速球を投げる藤浪のことだ。その不振ぶりは阪神ファンならずとも、きっと関心があるに違いない。

 かつて広島で編成グループ長をしていた川端順さんに以前、こんな話を聞いたことがある。

 2012年度のドラフト時、カープも当然、藤浪を上位候補にリストアップしていた。ところが、優先順位は高くなかった。

 投球時に利き腕が、背中の後方にまで回ることで生まれる横振りのフォームを敬遠したからだった。

 「カープはオーソドックスなタイプの投手を獲るという方針でした。育てやすいからです。短所があると長所を殺してしまうし、将来的に矯正しにくい。それともうひとつ。ボールの軌道です」

 このボールの軌道について川端さんは、同じく上位候補に挙げていた大谷と比較して説明した。

 【直球を投げる場合】

 大谷の球はホームプレートへ向かって一直線で伸びてくる。従って打者の目には、1個分のボールの影しか映らない。

 藤浪の球はシュート回転するため、打者の目には3~4個分のボールの影が映る。

 ボールの軌道を1本の糸に例えると、大谷よりも藤浪の方が長くなる。それはほんの少しだが、曲線を描くからだ。

 そうなるとボールを見極める余裕が打者に生まれる。

 【変化球を投げる場合】

 大谷は直球の軌道から落ちたり曲がったりする。藤浪は弧を描いてくる。どちらが打ちにくいかは明白だ。

 なぜ、そういう球の軌道になるのか。その原因は投球フォームにあったという。

 大谷はスムーズな体重移動からフィニッシュにもっていく。つまり直線運動から回転運動への移行だ。

 藤浪はいきなり回転運動に入るため、ボールの軌道が斜めにずれて、スリークォーター気味の腕の振りも加わりシュート回転する。

 「速い球でも打たれるのは、そういう理由ではないでしょうか。ボールがよく見えるというのは、カープの選手も言ってましたね」

 とはいえ、それほどの“不利”を跳ね返して藤浪は14勝もした。まだ若いしこの先、復活の可能性は十分にあるはずだ。

 現場でも打てる手はすべて打ってきていることだろう。なのに球筋が安定しない、このもどかしさ。

 インステップを矯正しようとしたのがよくなかったのか。いや、それは分からない。

 カーブを投げる練習が、体のタテ回転を身に着けるのにいいのではないか。それはそうかもしれない。

 専門家からは、いろんな声が聞かれる。“私に任せれば直してやる”というすごい人もいる。

 藤浪を蘇らせることができれば、もはやノーベル賞もの?とにかく難題中の難題であることだけは違いなさそうだ。(デイリースポーツ・宮田匡二)

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