【野球】巨人「辛抱強く」戦った前半戦 大誤算は守備面か 収穫は大勢の台頭

 巨人の今季、前半戦は誤算の連続だったと言ってもいいだろう。最大11あった貯金は大失速によって使い果たし借金5でリーグ5位。新型コロナウイルスの陽性者が大量に出たため、22日~24日(バンテリンドーム)の中日戦が延期となり不本意な形で前半戦が終了した。

 今年はFA補強もせず、新外国人選手で戦力の上積みを目指した。それは“育成”と“発掘”に力を注ぐためで、だからこそ若手を積極的に起用した。若武者では2年目の山崎伊、3年目の堀田が序盤は先発ローテの一角として台頭したが、前半戦を通しての1軍定着はならなかった。

 20日に山口寿一オーナーに前半戦の報告を行った原辰徳監督は、こう語った。「真っ白いキャンバスに一生懸命、絵を描こうとしている人(選手)が多い。時に、その描いた絵も『えっ』ていう絵もあるけれども、しかし、必ず完成したらきちんとしたいい絵になる。それぐらいの素材。我々も辛抱強く、今年から加わった戦力で戦っているというのが現状」。若い選手を“育てながら勝つ”という難題に挑戦し、試行錯誤を繰り返している。

 そんな中で前半戦、低迷の最大の要因は守備面の大誤算だろう。前半戦終了時で436失点と防御率4・09は両リーグワースト。正遊撃手の坂本が故障で3度、離脱したアクシデントも影響し61失策はリーグワーストの数字だ。守備面で特に痛かったのは、リリーフ陣の不振だ。

 ここまで勝ちパターンを確立できていない。2年目の平内も“八回の男”として期待しているが、未知数の部分が多い。さらに昨季56試合に登板して19セーブのビエイラ、同46試合で7セーブのデラロサが、いずれも戦力にならず出場選手登録を抹消されている。この想定外の事態に陥ったからこそ、メジャー通算243試合に登板した新外国人・クロールを緊急補強した。後半戦は貴重な左のリリーバー、クロールの存在も重要な鍵になるだろう。

 最大の収穫は新人・大勢の台頭だ。開幕から守護神として君臨し、両リーグトップタイの25セーブは文句のつけようがない数字。右腕がクローザーとして抜群の安定感を見せているからこそ、そこにつなぐまでの勝利の方程式の“立て直し”が急務となる。

 原監督は20日に、後半戦に向けて「自軍の選手で乗り切る。そういう戦い方をします」と語っていた。課題は山積みだが、“ワンチーム”で苦境を乗り越える。 (デイリースポーツ・伊藤玄門)

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