【野球】復肩に踏み出した巨人・井納 Aクラス入りの救世主となれるのか

 復肩に踏み出した巨人・井納翔一(36)は、Aクラス入り、クライマックスシリーズ(CS)出場への救世主となれるのか。

 井納が後半戦に入り結果を残している。6日のヤクルト戦(神宮)では、DeNA時代の2020年9月18日・巨人戦(横浜)以来、実に687日ぶりのプロ51勝目となる移籍後初勝利を挙げた。また、翌7日にも七回からマウンドに上がり、代打・坂口智隆(38)以下打者3人を危なげなく抑え、ホールドポイントを記録した。これで後半戦は3試合に登板していずれも無失点。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に加え、投壊状態の投手陣の中にあって存在感を発揮しつつある。

 DeNAからFA移籍2年目の今季は6月22日のDeNA戦(東京ドーム)で、2番手として5回途中からマウンドに上がっていたものの、蝦名達夫(24)を相手に3球続けてボール。4球目は暴投となって四球を与え即降板。そのまま、ファーム行きを命じられた。昨季は5月中旬には出場選手登録を抹消され、その後は1軍に呼ばれることはなかった。登板数はプロ入り9年間で最少の5試合。0勝1敗、防御率14・40という成績に終わっている。

 FA移籍した選手には、厳しい現実が待っている。工藤公康氏(59)や江藤智氏(52)のようなタイトルホルダーでも成績を残せなくなれば、FA移籍してくる選手の交換要員として他球団に放出される。

 井納の契約は2年契約で推定2億円といわれており、今季はその2年目に該当する。成績次第では自由契約となる可能性もある。36歳という年齢を考えれば、まさに選手生命の危機だ。

 だが、チームの緊急事態に8月2日、出場選手登録され、復肩のチャンスが巡ってきた。昨年まで173試合登板で先発は145試合。現在、登板機会が与えられているセットアッパーでの実績はあまりないが、ぜいたくをいえる立場にはない。

 原辰徳監督(63)は今季、左のセットアッパーをほしがっていた。そのため、メジャー登板243試合と経験豊富なイアン・クロール(31)を獲得した。だが、セ・リーグには史上最年少の三冠王の視野に入れる、ヤクルト・村上宗隆(22)など実力、実績を兼ね備える左打者は多い。信頼できる左のセットアッパーは何人いても困らない。

 新型コロナウイルス感染症で離脱していた守護神・大勢がチームに復帰。7月18日のヤクルト戦(神宮)以来となる、7日の試合では今季26セーブ目を挙げ、投手陣の不安がひとつ解消された。

 巨人のペナント・レースは残り41試合。4連勝で借金3まで戻したが首位・ヤクルトまではまだ11・5ゲーム差もある。だが、クライマックスシリーズに出場できる3位まではわずか1・5ゲーム差に詰め寄った。勝負はこれから。

 指揮官は今季初勝利を挙げた井納に対し、継続を期待し「こんなことで満足してほしくはない」とコメントした。チームにとっても井納にとってもこれからが、まさに正念場だ。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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