【スポーツ】W杯2次予選・ミャンマーで史上8人目のハット達成した上田綺世は、キング・カズらのレジェンドたちを超えていけるか
サッカー日本代表・上田綺世(25)は、キング・カズら偉大なるレジェンドたちを乗り越えていけるのか。
上田綺世は11月16日、大阪・パナソニックスタジアム吹田で行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選で、ミャンマー相手に代表初ハットトリックを達成し日本を勝利に導いた。
W杯予選のハットトリックは史上7人目の快挙だ。過去には現在も現役を続ける三浦知良(56)ら日本サッカー界に名前を刻む選手たちが名前を連ねている。
その7人の中でも思い出に深い選手の一人に、横浜FCや東京ヴェルディなどの監督を歴任した“アジアの大砲”高木琢也氏(56)がいる。彼は国際Aマッチに44試合に出場し27ゴールを挙げている名FWで、1997年3月に行われたW杯フランス大会アジア1次予選のマカオ戦、ネパール戦と2試合連続でハットトリックを達成している。しかし、1ゴールした同年11月8日、国立競技場でのアジア最終予選・カザフスタン戦を最後に代表にユニホームに袖を通すことはなかった。
高木氏と最初に会ったのはサッカー担当になる以前、プロ野球の横浜(現DeNA)担当記者時代の93年のことだった。チームの移動日に、遠征先の広島で知人と食事をする約束をしていた。その知人が連れてきて引き合わせてくれたのが、当時サンフレッチェ広島でプレーしていた高木氏だった。
97年にサッカー担当記者となり、代表チームの取材で会うことが増えた。実は、このとき高木氏にあることを依頼しよう考えていたことがあった。高木氏がアジア最終予選のメンバーに入り、同年11月16日にマレーシア・ジョホールバルで行われるアジア第3代表決定戦に出場。フランス大会出場を決めた場合、感動を読者に伝える手記を依頼しようと思っていたからだ。
この手記の件は実現しなかったが、その後もプライベートで何度か会っている。彼は真面目でしかも家族思い人間という印象だ。会話の中心は今年7月にカンボジアプレミアリーグ所属の「Tiffy Army FC」移籍した長男・利弥(30)ことだったと思う。当時、高木氏は乗っていた車のナンバーを利弥の誕生日にしていたほどの子煩悩だった。
彼は日本代表としてドーハの悲劇をベンチで目の当たりにし、フランスW杯出場の夢もかなわなかった。上田綺世もカタール大会のメンバーの選出されたものの、出場したのは第2戦のコスタリカ戦の前半のみ。本人も不完全燃焼という思いは強いだろう。
史上最強の呼び声も高い森保ジャパンだけに、生き残りをかけた戦いは今後、激烈を極める。だが、上田綺世は9月9日の国際親善マッチ・ドイツ戦(ボルフスブルク)では決勝点となるチーム2点目を挙げ、今回もハットトリックを達成するなど結果を残し続けている。
21日にはアジア2次予選・シリア戦(サウジアラビア・ジッタ)が控えるが、その先にはアジア最終予選、さらにはW杯本大会も待ち受けている。それでも上田綺世ならライバルを蹴散らし、ピッチに立ち続ける予感を抱かせる。(デイリースポーツ・今野良彦)