【野球】阪神・伊藤将の恩人がかなえた“親子の約束” 亡き「マスター」が日本S“観戦” 幼少期から世話に「良い報告できる」

 福井祥人さん(左)、妻の久子さん(右)と笑顔で写真に写るJR東日本時代の伊藤将(石井恵さん提供)
 日本シリーズ第3戦で力投する伊藤将=10月31日
 日本シリーズ第7戦の6回、3番手で登板した伊藤将=11月5日
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 阪神の伊藤将司投手(27)が先発した10月31日の日本シリーズ第3戦。左腕の亡き恩人である福井祥人さんの娘・石井恵さん(46)は、特別な思いで試合を見守った。18年ぶりのリーグV、38年ぶりの日本一が成し遂げられた今年、甲子園で果たされた“親子の約束”とは-。

 10月、記者の手元に一通の手紙が届いた。「甲子園で阪神の試合を見に行こう、私と父の約束…」。差出人は石井さん。亡き父の願いを、“アレ”が達成された聖地でかなえた。

 祥人さんは生前に千葉県内で居酒屋「花たば」を営み、少年野球チームの指導者に連れられて店を訪れた伊藤将を小さい頃からかわいがっていた。左腕がドラフトで指名された2020年、その様子を病室で見届けた後、他界。亡くなる前には「将司の応援に甲子園へ行きたい」と願いを口にしていた。

 娘の手で3年越しにかなえられた約束。祥人さんの写真を持ち甲子園を訪れた恵さんは、当時を振り返る。

 「将司くんはお店に来ると、みんなでウチの売りの牛タンとかを、たくさん食べて楽しそうにしていました。小さい頃から野球で頭がいっぱいという感じで、いつも野球の話をしてましたね」

 伊藤将は毎年年末に帰省した際、祥人さんに線香をあげに訪れるという。「地元のスターです。活躍してくれていて本当にうれしいですね」と恵さん。同戦は5回4失点で残念ながら敗れたが、「父もきっと喜んでいると思います」と左腕の雄姿を誇った。

 ただ、リベンジの時は巡ってきた。伊藤将は11月5日の日本シリーズ第7戦に中4日で中継ぎ登板。3回無失点の好投を見せて日本一に貢献すると、勝利投手となった。

 祥人さんのことを「マスター」と呼ぶ伊藤将も、有終の美に胸をなで下ろす。「今年は個人としても規定投球回数をクリアできましたし、おまけにチームとして優勝もできたので、良い報告ができそうです」。今年も帰省した際は、祥人さんに手を合わせに向かうつもりだ。日本一という最高の“手土産”を持って-。(デイリースポーツ・間宮 涼)

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