【ゴルフ】初シード選手が感じる1年間試合に出られるありがたみ「QTがないって分かっていても…」

 女子ゴルフの国内ツアーは、11月のツアー選手権リコー杯で長いシーズンが幕を閉じた。メルセデスランキング上位50人とツアー優勝者などがシード選手となり、来季の出場権を獲得。51~55位までの選手と、11月末の最終QTでQTランキング上位35人程度に入った選手が第1回リランキングまでの出場権を得た。来季のレギュラーツアーの顔ぶれが、おおよそ決まったということだ。

 し烈な競争を勝ち抜いたプロが来年の“職場”を確保できるわけで、シード権やQTランク上位は誰もが喉から手が出る程欲しいもの。QTランキングが低い選手は、マンデートーナメントや主催者推薦でレギュラーツアーの出場機会を伺いながらも、下部のステップアップツアーを主戦場とすることになる。ただし、ステップアップツアーにも出場枠がある。QTランキング130~140位までならほとんどのステップに出場できる見込みだが、それ以下だと厳しい。

 3月のアクサ・レディースでツアー初優勝を果たした山内日菜子は、今季のQTランキングが181位だった。ステップアップツアーも出場機会がかなり怪しい状況で開幕を迎え、「小さい試合でもいいから勝ちまくるぞ、稼ぐぞっていう目標だった」とツアー外競技とトレーニングを中心に1年を過ごす計画だったという。

 念願の初シードを獲得し、良い意味で計画が狂った。「QTはしんどいですよ(笑)。気持ちが張って良くも悪くも終わった瞬間ホッとします。シードはもう絶対落とさないぞっていうつもりです」とフル出場できるシードのありがたみを感じていた。

 7月の大東建託・いい部屋ネット・レディースで初優勝を手にした小滝水音も、「今年はすごくありがたい。QTがないって分かっていてもなんか体が反応しますね。拒否反応です」と苦笑いで初シードの感想を話していた。

 2019年にはレギュラーツアー35試合に出場と、ほぼフルシーズンを戦った経験もあるが、近年は腰の故障とQT苦戦で出場機会が激減。ステップツアーの出場では「予選に通っただけでは全然遠征費にならなくて。ステップでもトップ10に入らないと黒字にはならない」と収入面の厳しい現実を教えてくれた。ちなみに、小滝は「試合がない時は静ヒルズでバイトしてました。バイトっていうよりは所属プロとしてマスター室にいて、キャディーさんのお手伝いとか」と試合以外の仕事で稼いでいた時期もあった。

 とにもかくにも出場権を得て、試合に出られることがツアープロとしての大前提だ。入れ替わりの激しい女子ゴルフ界では、来年の“職場”を確保するのも簡単じゃない。だからこそ、優勝争い以外にも面白いドラマがたくさん生まれるのだ。(デイリースポーツ・中谷大志)

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