【野球】なぜ?最下位に沈むヤクルトが打った秘策「ショートスターター」 小沢→高橋奎 オープナーと「少し意味合い違う」

 8連敗、借金14はいずれも今季最悪を更新…さらに、鬼門・マツダスタジアムでいまだ白星なしと三重苦で最下位に沈む高津ヤクルト。打開策を講じる形でベンチがついに動いたのは13日の広島戦だった。なぜ、「ショートスターター」という秘策を打ったのか。

 12日の広島戦開始直前。11日の先発投手練習に参加していない小沢が突如、翌日の予告先発投手として発表された。伏線は1週間前にあった。5日からの巨人3連戦は初回だけで悪夢の10失点(小川4失点、高橋2失点、サイスニード4失点)を喫していた。

 同一カード3連敗。試合後、高津監督はある決断をした。「先発が先発して投げるのは当たり前だと思うんですけどね。全然うまく試合を作れなかったので」。中継ぎを真っさらなマウンドに送り、2番手から先発投手を継投で起用する。いわゆる「オープナー」の秘策に打って出た。

 だが、伊藤投手コーチは「少し意味合いが違う」と説いた。今回の継投は似た戦術でもある「ショートスターター」で、中継ぎ投手が打者一巡まで投げてから継投する作戦だという。19年に日本ハムの指揮を執っていた栗山氏が導入したもので、今回のケースはさまざまなデータも後押しして実現した。

 2番手に上がった高橋は先発した10試合のうち、5試合で立ち上がりに失点している。一方の小沢は先発としての経験がある上に、打者一巡目は特に「いい結果が出るっていうデータもあった」という。互いの“弱点”を補い、13日の同戦は小沢が2回、高橋は5回1/3をそれぞれ無失点に抑え、延長十回まで0-0の投手戦となった。

 ヤクルトでは昨年7月6日・DeNA戦でも丸山翔が先発した後に2番手で石川が継投するなど用いられてきた戦法でもある。今回、右打者を苦にする高橋の前に小沢が先発することで左打者が1番から5番まで並ぶなど利点もあった。ただ、伊藤コーチは「リスクも高い」と続ける。「やっぱり先発投手の2番手は難しい。セ・リーグはDHもないから、どこまで(2番手の先発を)引っ張れるかという問題点もある。難しいといえば難しいです」

 13日は結果だけ見れば惜敗で、連敗は止まらなかった。それでも高津監督は「正直、誰に投げさせるか迷った」と、悩みながらも抜てきした小沢&高橋が結果で応えた。現状打破へ向けたベンチの秘策。この積み重ねが、必ず打開策につながっていくと信じたい。(デイリースポーツ・松井美里)

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