【野球】耐えて勝つ!巨人、広島、DeNA、阪神の乱セペナント・レースに、名将・古葉竹識氏の金言がよみがえる

 耐えて勝つ!巨人、広島、DeNA、阪神の乱セペナント・レースに、名将・故古葉竹識監督の金言がよみがえる。

 セ・リーグのペナントレースもオールスターゲーム(球宴)まで残り1カードになった。球宴が終了すれば残り50、60試合となり負けられない試合が続くことになる。

 7月17日時点では阿部慎之助監督(45)が指揮を執る巨人が首位に浮上。新井広島、DeNA、球団史上初の連覇を狙う阪神が僅差で続いている。2・5ゲーム差にひしめく上位4チームの状況を考えると、最後の最後までもつれるだろう。

 1試合に占めるウエートが今まで以上に大きくなるが、どのチームも現状の戦力が大幅にアップすることは考えづらい。そこで抜け出すポイントのひとつになるのが指揮官の采配だろう。

 4チームで指揮官として優勝経験があるのは阪神・岡田彰布監督(66)だけだ。巨人・阿部監督、広島・新井貴浩監督(47)、DeNA・三浦大輔監督(50)は選手時代は優勝に貢献しているが、指揮官としての優勝経験はない。今後、未体験ゾーンに突入し、プレッシャーから采配ミスを犯すケースも出てくるかもしれない。信念を持った、ぶれない采配こそが明暗を分けてくるのは間違いない。

 セ・リーグの状況に、赤ヘル軍団を球団史上初のリーグ優勝、日本一に導いた故古葉竹識さんの「耐えて勝つ」という座右の銘を思い出した。これまでプロ野球チーム7球団を担当してきたが、最初に担当したチームの監督が古葉さんだった。1985年のシーズンを最後に広島の監督を勇退したが、まさに耐えに耐えた年だった。

 日本一に輝いた前年と比べ故障者が続出。主砲のミスター赤ヘル・山本浩二が故障で出遅れ、復帰したのは5月5日の大洋(現DeNA)戦からだった。また、前年16勝した山根和夫が右肩痛でシーズンを棒に振るなど投手陣に故障者が続出した。それでも、なんとか阪神に次ぐ2位を確保できたのは、川端順、高木宣宏、金石昭人ら、前年まであまり実績のなかった若手投手を耐えながら使い続けた結果だった。

 古葉さんはチームの敗戦にも「それを言ったら愚痴になる」と、試合後声ひとつ荒らげることはなかった。また、試合後の会見を拒否したり、途中で打ち切ったりしたこともなかった指揮官だった。

 だが、実が激情型の側面を持っている人だった。こんな出来事がある。ある日、古葉さんが右手だったか左手だったか定かではないが、包帯でグルグル巻きにして球場に現れたことがあった。「どうしたんですか?」と質問すると「壁が手にぶっかってきた」と笑顔で返答してくれたが、その姿は痛々しかった。後で関係者に取材してみると、前日の試合で敗戦した瞬間、壁を殴ったという。だが、そんなときでも、感情に押しつぶされることなく、采配は沈着冷静だったと思う。

 巨人、広島、DeNA、阪神の4監督も予想外の結果に感情をあらわにしたくなるときもあるだろう。だが、それを押し殺し「耐えて勝つ」-。その先に開けてくるものがあるはずだ。(デイリースポーツ・今野良彦)

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