【ファイト】2大レジェンドの名を持つ女子プロレスラー・辰巳リカ 再び頂点に挑むワケ「分母を増やさないと衰退してしまう」

 東京女子プロレスの辰巳リカ(32)が、20日に後楽園ホールで開催される「SUMMER SUN PRINCESS’24」で、渡辺未詩(みう=24)の保持するプリンセス・オブ・プリンセス王座に挑戦する。辰巳がペア「白昼夢」を組むパートナーにあえて挑戦する裏には、マット界の現状への危機感と、ある大先輩レジェンドへの夢があった。

  ◇  ◇

 辰巳は「団体トップのベルトを手に入れて突き進んでいるのを間近で見ていて、進化している今の私と戦ったら面白いんじゃないかと思って」挑戦を表明した。

 渡辺は3月に両国国技館で行われたビッグマッチで「私(辰巳)が一度も勝ったことがない相手で、団体をけん引してきた初期メンバーでもあり、強さの象徴みたいな選手、絶対王者だった」山下実優(29)を破って戴冠。「コイツ、すごいことを成し遂げたぞって」と驚かされた。

 防衛戦の内容も良く、特にやはり初期メンバーである中島翔子との一戦では「今年のベストバウトになるんじゃないかっていうすごい攻防」を制した。辰巳は「誰にも止められないんじゃないか。絶対王者になりつつある」と感嘆しつつも「私もいけるんじゃないか」とも感じたという。

 タッグパートナーで、プライベートでも東京ディズニーランドに遊びに行くなど「姉妹のように」仲が良く、渡辺をよく知るからこそ「勝機は見えている」。逆に渡辺も辰巳をよく知るわけだが、辰巳は「隠している面もある。仲いいけど全てをさらけ出しているわけでもないので。違うA面もB面もあるぞと」と秘策の存在を示唆した。

 辰巳は渡辺の強さを「努力家なところ」だといい、「本当に愚直というか頑張れる子で、積み重ねられる子。練習量も団体内で一、二を争うレベルで、それを当たり前のようにやれてるのがすごい」と尊敬している。

 ウイークポイントは「一人で考えすぎちゃうところがあって、良くも悪くも頑固でこうと決めたら曲げないところがあるし」と、融通の利かない性格だと指摘。「私はポジティブで堅苦しいことが嫌いだから、おおらかでいすぎるところがある。正反対なタイプ。未詩からしたら、何をしでかすか分からない相手が来て困ってそうだなというのは前哨戦をしてきて感じています」と、対照的な性格が試合では辰巳有利に働くとみている。

 実際にシングルでは渡辺に負け知らず。「(自分は)自分自身を制御できないタイプなんだと思います。試合は生もので何が起こるか分からないので、その時々で最善の方法を、とやっているのを、後から見たら、何やってたんだろう?みたいなことが多々あります。(渡辺が)苦手なタイプだから今まで勝ってきたのかな」と自己分析した。

 辰巳は2021年にベルトを巻いたが、4カ月で王座を明け渡した。当時を「勢いよく東京女子を引っ張っていくぞと自分なりにやってきたんですけど、すごい気を張っていたなと思う。チャンピオンとしてこうしなきゃこうしなきゃみたいな。いっぱいいっぱいだった」と振り返る。

 ベルトを落としたことで「荷が下りた面もあって、さらに自由にプロレスがもっと楽しめるようになった」といい、今なら「もっと広い視野も持てているし、いろんな考えを持って成長してきたので、進化したチャンピオンとしていけるんじゃないか」と感じている。

 王者のビジョンとしては「広報活動を進んでやっていきたい」といい、その理由を「プロレスを好きじゃないお客さんに届けないと世間には広がっていかない。世間から見たらベルトを持っているというのは分かりやすく、説得力がある。そのためにもベルトを持って広報活動をすることに意味がある」と説明した。

 コロナ禍を経た今、マット界は観客動員に苦戦している。コロナで離れた観客が戻りきらないこと、配信が定着したこと、スターの米国流出、娯楽の多様化など考えられる原因はさまざまだ。辰巳も「それはよく考えている。コロナ禍もあって足が遠のいてしまったお客さんもいるなというのは感じていて。コロナ前に来ていたお客さんの顔を見なくなった」と危機感を抱いている。

 だからこそ「どう知ってもらうかが必要。分母を増やさないと大好きな東京女子が衰退していってしまう。(プロレスで)やるべきことはちゃんとやっていると思うので、そこは変わらず、どう広げていくかが大事だと思う」と指摘する。

 辰巳は「私は東京女子がすごく多様性にあふれていて、いろんな子たちが切磋琢磨(せっさたくま)して高め合って、皆で上を目指してやれているのが、多様性の時代にも合っている団体だと思う」と自負。「そういう意味ではプロレスを見ていない層にも受け入れられやすい、おすすめしたいと思っているので、そのためにベルトでアピールして広げていく」と公約した。

 もう一つ、プロレスでは大先輩のレジェンド、藤波辰爾(70)に会いたいという希望もある。

 「辰巳リカ」というリングネームは、本名の「リカ」からおニャン子クラブ直撃世代の高木三四郎が「リカといえばタツミリカ(立見里歌)だろう」と命名したが、「改名してから藤波辰巳(現辰爾)さんにもあやかってドラゴン殺法を使い出して、ホワイトドラゴンという二つ名をもらって皆に知ってもらえてるので、ホントに感謝しています」と、藤波のイメージも投影してきた。

 本家・立見里歌とはリングネームが縁で「ご本人も知ってくださって、一度見に来てくださったこともあって、公認ではあります。快くしてくださいました」とつながった。藤波とは「ずっと対談したいんですけど、まだないんですよ。チャンピオンになったら堂々と対談したい。今年はドラゴンイヤー(辰年)ですし。広報の一環にもなるし、ドラゴンに会いたい」と、王者としての初対面を目指している。

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 辰巳リカ(たつみ・りか)1991年9月27日生まれ、長野県出身。2014年デビュー。獲得タイトルは第8代プリンセス・オブ・プリンセス王座、第6代プリンセスタッグ王座(パートナーは渡辺)、第10代インターナショナル・プリンセス王座。得意技はホワイトドラゴンスリーパー、足4の字固め、ツイスト・オブ・フェイト、ヒップアタック。身長163センチ。血液型O。

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