【野球】連覇逃した侍ジャパン 舞台裏で起こっていたこととは なぜ辞退者が続出したのか

 「ラグザス presents WBSCプレミア12・決勝、日本代表0-4台湾代表」(24日、東京ドーム)

 舞台裏で一体、何が起こっていたのか-。野球日本代表「侍ジャパン」はプレミア12で大会連覇を逃した。宮崎合宿直前に故障で4人が出場を辞退。当初リストアップされた候補選手の中には、大きな故障ではないにもかかわらず、出場を断るケースもあった。なぜ辞退者が続出したのか-。V逸の背景も踏まえて背景に迫った。

 侍ジャパンに激震が走ったのは合宿地の宮崎入りした10月28日。4番最有力候補の岡本和と正二塁手候補の吉川(ともに巨人)、先発候補の伊藤と外野レギュラー候補の万波(ともに日本ハム)の4選手が故障で出場を辞退することが決まった。清宮(日本ハム)らを追加招集した井端監督は「みんな戦力ですよ。どうやったら生きるかを考えて、このメンバーに決まった」と気丈に語った。

 当初からチーム編成で苦労してきた。侍常連組の近藤(ソフトバンク)、村上(ヤクルト)は故障のため招集を見送らざるを得なかった。また、当初リストアップされた代表候補の中には、大きな故障ではないにもかかわらず出場を断り、招集が実現しないケースがあった。

 大会開催の時期的な問題もある。日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は「選手はリーグ戦、(ポストシーズンを含めた)1年間をメインに置く。体の調子もあるし、来シーズンへの影響が出ることを考えざるを得ない」と選手の思いを代弁する。

 「国際舞台も経験したことないし、いい経験」(北山)、「若いので試合に出て経験したい」(小園)。今回の日本代表入りを前向きに捉える選手は多い。一方である投手は「疲労はみんな残っていると思う。シーズンが1回終わってから、また作るというのは難しい作業」と証言する。宮崎合宿から大会終了まで、約1カ月という活動期間が長過ぎるという声も聞く。

 球界関係者の一人は、「オリンピックだったらシーズン中でも出たいという選手がいる。WBCやオリンピックは出たい選手が多くいる」と明かす。大谷らメジャーリーガーが出場するWBCや金メダルを目指して戦う五輪の出場は選手にとっても魅力的だろう。それに比べてシーズンの疲労が残っている11月開催のプレミア12では、熱量に差が出てくるのも無理はない。

 選手会の森事務局長も「時期的なものも含めて大会がどういう位置付けなのか。価値みたいなものもある」と指摘する。今回、出場辞退者が続出したことと大会連覇を逃したことは無関係ではないだろう。プレミア12という大会が抱える潜在的な課題と向き合いつつ、今回の悔しさを若い侍たちがかみしめ、26年WBCにつなげるしかない。(デイリースポーツ・伊藤玄門)

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