【野球】引退決断の日本ハム・江越が語った心境とは 獲得熱望した新庄監督への思いは 今秋戦力外、他球団からオファーなく
日本ハムの江越大賀外野手(31)が、10年間のプロ野球選手生活に別れを告げた。11月13日、自身のSNSでファンに引退を報告。12月1日の日本ハム選手会納会ゴルフで、久々に公の場に現れて心境を語った。
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「今はスッキリしています」。松本剛らとのラウンドを終えて江越はすがすがしい表情で話した。10月22日に戦力外通告を受けた。「正直、もうちょっとやりたいなって気持ちもあって」と本音。他球団からのオファーを待ったが、朗報は届かなかった。「(決断は)トライアウト(11月14日)が始まる前ぐらいですかね」と明かした。
勝負の1年だった。昨オフには眼の検査を行い、左眼の外斜位が発覚。眼球が外側を向くもので、ボールを見やすくするためクローズドスタンスに変えた。さらに米国のトレーニング施設「ドライブライン」が東京で実施した動作解析を受講。高めの球をレベルスイングで対応するフォームを身につけた。キャンプ中の練習試合では場外弾。覚醒の兆しを見せていたが…。
今季は昨季に続いて開幕1軍をつかんだ。だが、出場4試合、2打数2三振で4月8日に2軍降格となった。9月3日に再昇格。守備固め、代走としての起用が続く中、少ない打席でも結果を残せなかった。無安打でシーズンを終えた。「5月、6月くらいから、ずっとファームにいて、そのつもりではいた」。戦力外通告を覚悟して過ごしていた。
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新庄監督が獲得を熱望して、斎藤友とともに22年オフにトレードで日本ハム入り。すぐにファンの心をつかんだ。1年目の23年は、3月にシート打撃で死球を受けて右手首を骨折。4月にも死球を受けて肋骨(ろっこつ)を骨折。2カ所の骨折の痛みに耐えてプレーを続けた。
当初は首脳陣にも明かさなかった。異変を知られ検査を受ける際にも「何か異常があっても絶対に(試合に)出ますと認めてもらって調べました」と言う。骨折が判明しても「やっぱりそうなんだと思ったけど、心は折れなかった」と名言も飛び出した。2軍に降格すればすぐに“居場所”はなくなる。新天地で得た1軍の地位。手放すつもりはなかった。
「去年の交流戦の阪神戦は自分の中でもすごく楽しかった」と懐かしいまなざしで振り返る。骨折も癒えた6月の阪神戦では西純から4号ソロを放つなど、計6打数2安打1打点、3得点と大暴れ。古巣にその存在感を見せつけた。そして初めてシーズンを通して1軍に帯同、自身初の100試合出場を果たした。
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戦力外通告を受けて新庄監督への思いを聞いた。「ほんと、感謝しかないです。声をかけてもらって、ファイターズに来られて、すごく楽しい2年間でした」と言う。今後はタイガースアカデミーのコーチに就任することも決まった。「子供たちと遊びます。自分が一番楽しまないか、ちょっと心配してるんですけどね」。すがすがしい笑みを浮かべていた。(デイリースポーツ・鈴木創太)
◆江越 大賀(えごし・たいが)1993年3月12日生まれ、31歳。長崎県南島原市出身。現役時代は右投げ右打ちの外野手。長崎・海星から駒大を経て2014年度ドラフト3位で阪神入団。23年にトレードで日本ハムへ移籍。24年シーズン限りで現役引退。1年目の15年4月2日・ヤクルト戦(神宮)で初出場。NPB通算453試合で打率・184、18本塁打、51打点。