【野球】新天地・DeNAで奮闘続ける“元虎戦士” 「阪神タイガースWomen」で育んだ“猛虎魂”今も

 今季からDeNAに、フレッシュな“元虎戦士”が新加入した。昨季まで阪神が運営する女子硬式野球クラブチーム「阪神タイガースWomen」でプレーした高橋結央さん(22)だ。昨季限りで現役引退し、今年1月に「横浜DeNAベイスターズ ベースボールスクール」のコーチとして入団。横浜市内を中心に子どもに野球指導を行う奮闘ぶりに迫った。

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 無邪気に体を動かす幼いハマっ子たちと目線を合わせながら、身ぶり手ぶりを交え、楽しげに声を弾ませている。今年から指導者としての道を歩み始めた高橋さん。新天地に選んだ横浜で、使命感に燃えている。

 2023年から2年間、「阪神タイガースWomen」の強肩捕手としてタテジマのユニホームに身を包んだが、プレーヤーと並行し、子どもたちへの野球教室も活動のひとつだった。「私は指導者の方が向いているのかも」と育成への意欲が芽生え、昨年秋、ユニホームを脱ぐことを決断。「どこかで教えたい」と新たな道を模索していたところ、旧知の女子野球関係者がDeNAに球団職員として在籍していた縁で横浜にやって来た。

 ベイスターズのスクールは球団OBの元選手を中心にコーチ陣が構成されるが、女性コーチは2人目。高橋さんが受け持つのは主に未就学児を対象とするクラスで、神奈川県内の4拠点の会場を担当している。約100人の野球未経験の子どもたちに、ボールの握り方やバットの持ち方など一から丁寧に教えている。

 「できなかったことができるようになったときの達成感は喜び。バットにボールが当たらなかった子が、どんどん飛距離が伸びるようになったり」と目を輝かせる。先輩コーチで球団OBの松本啓二朗氏(38)からは「こっちが楽しんでいないと、子どもたちも楽しめない。100%じゃなく、150%でね」との助言を受け、その姿勢を心がけているという。

 現役時代の経験も生きている。「阪神-」で当時監督を務めていた木戸克彦氏(64)からは野球技術を、上本博紀氏(38)=現阪神1軍打撃コーチ=からも野球人としての姿勢を学んだ。上本氏からは「キャッチャーは1人だけ違う方向を向いていて、一番見られているポジション。信頼されるために自分から率先して動け」と常に叱咤(しった)され、リーダーシップや積極的なコミュニケーション、準備力が培われてきた。「今も実践しています」と、育まれた“猛虎魂”は指導者となった今もなお、根底に息づいている。

 指導する約100人の中で女子は5人ほど。高橋さんは将来の目標について「DeNAの女子野球チームをつくりたいと考えています。そこでコーチとして指導したい」と語る。女子野球の受け皿が少なかった過去の経験を踏まえ、「自分が高校生の時は、地元に女子野球チームがなく、県外に出て野球をやったりする子が多かった。でも、地元でチームができたら、もっと野球人口が増えていくんじゃないかと思います」と野球振興への思いは真剣だ。

 近年、野球の競技人口の減少が叫ばれている一方で、女子野球の競技者は増加傾向にある。女子硬式高校野球の全国大会決勝が甲子園や東京ドームで開催されたり、イチロー氏(51)が自身が率いる野球チームと高校女子選抜との試合を開催するなど昨今、普及活動が活発だ。「女子だけのスクールもつくりたい」と高橋さん。横浜でその夢をかなえる。(デイリースポーツ・福岡 香奈)

 ◆高橋 結央(たかはし・ゆうな)2002年9月29日生まれ。秋田県出身。小4から兄の影響で野球を始め、主に捕手。クラーク記念国際高校(仙台キャンパス)に進学し、東北で初めて創部された女子硬式野球部に所属。ここで本格的に捕手を始め、2度の全国大会準優勝に貢献した。卒業後は履正社スポーツ専門学校を経て、23年に「タイガースWomen」に入団。昨季限りで現役引退した。161センチ、右投右打。

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